「The Indifference Engine/伊藤計劃」を読んだ
「虐殺器官」や遺作「ハーモニー」を読んできて、そのあまりの圧迫感にやられてしまった伊藤計劃氏。氏が残したフィクションを集成した「The Indifference Engine」(早川書房)。世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
収録されているのは、以下。
・女王陛下の所有物 On Her Majesty's Secret Propetty:
フルカラーのスパイモノの漫画。ジェームス・ボンドへのオマージュか。
・The Indifference Engine:
表題作。アフリカの少年兵の物語。
・Heavenscape:
世界各地の虐殺がバイオロイド"スナッチャー"だったという話。
・フォックスの葬送:
冷戦時代を舞台にした"メタルギア ソリッド3 スネーク イーター"の後日談。小島秀夫監督にオマージュ。
・セカイ、蛮族、ぼく。:
反近代の象徴としての蛮族を。
・A.T.D:Automatic Death■EPISODE:0 NO DISTANCE,BUT INTERFACE/伊藤計劃+新間大悟:
映画"Matrix"からのポストサイバーパンクの流れで、「虐殺器官」を補完する漫画。
・From the Nothing,With Love:
身体を情報テクストとして再構築。
・解説/伊藤計劃&円城塔:
"The Indifference Engine"を円城塔氏と解説。でもさらなる解説が必要。
・屍者の帝国:
フランケンシュタインとドラキュラ。伊藤計劃氏の絶筆。
で、時によかったのは表題作の「The Indifference Engine」。戦争が残した傷跡から回復できないアフリカの少年兵の物語。ゼマ族とホア族の民族間殺戮なんだけど、80万人ものツチ族が同じ言葉を話すフツ族に虐殺されたルワンダの大虐殺を思い出す。まだ観ていない「Hotel Rwanda/ホテル・ルワンダ」を観ねばと思った。そしてもう1つは「屍者の帝国」。フランケンシュタインとドラキュラという屍者再生の物語っぽい。伊藤計劃氏は、この作品の途中で絶筆し、盟友で同期のある芥川賞作家"円城塔"が書き継ぐという。これはマジで期待。
ともかく、伊藤計劃氏の作品はヘビーだけど、ジワジワ迫ってくる圧迫感がだんだん心地よくなってくる。「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」も、いつか読んでみたい。
cf. 伊藤計劃 読破 List
- 虐殺器官 (2007)
- ハーモニー (2008)
- The Indifference Engine (2012)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ROCKIN'ON JAPAN 2025年3月号(2025.03.14)
- 「板上に咲く MUNAKATA:Beyond Van Gogh/原田マハ」を読んだ(2025.03.13)
- 「劇映画 孤独のグルメ」パンフレットを読んだ(2025.03.06)
- 「チェーン・ディザスターズ/高嶋哲夫」を読んだ(2025.03.04)
- 「家族/高嶋哲夫」を読んだ(2025.02.20)
Comments