「民宿雪国/樋口毅宏」を読んだ
あまりの過激さにすっかり気にいってしまった樋口毅宏氏の「さらば雑司ヶ谷」と「雑司ヶ谷R.I.P.」。せっかくなんでお勧めされた「民宿雪国」(祥伝社)も世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
こんな話。2012年8月、享年97歳 国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。80年代のバブル字に突如脚光を浴びた雄武郎だが、決して表舞台には出ようとせず、新潟にある、日本海を見下ろす寂れた民宿雪国を経営し、亡くなるまで創作に没頭した。しかしその一方で、雄武郎の過去には不明瞭な部分も多かった...。
使用人との間に生まれ、兄弟からは虐待され、病弱で不遇な少年時代を過ごし、大戦中ではニューギニアに応召され、大戦後はシベリアに抑留されたという過去を持つ雄武郎。その雄武郎のまったく違う別人の顔が暴かれていくのがこの話。そして、彼の破天荒な人生には、ホテルニュージャパンの横井英樹、オウム真理教の松本智津夫らがからみ、隠された昭和史まであぶり出されていく。
こんな感じでどんどん話が膨らみ、転がり、脱線し、断線し、最後の着地点はまったく想像していかなかったものになっていった。あー、凄かった。
というわけで、樋口毅宏さんは凄い。「日本のセックス」、「テロルのすべて」、そして「二十五の瞳」の3冊もおいおい読んでいこう。
cf.樋口毅宏 読破 List
- さらば雑司ヶ谷 (2009)
- 民宿雪国 (2010)
- 雑司ヶ谷R.I.P. (2011)
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