「Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也」を読んだ
伊坂幸太郎、山本幸久、中山智幸、真梨幸子、小路幸也。ペンネームに「幸」が付く5人の作家が"幸せ"をテーマに書き下ろした短篇小説集「Happy Box」(PHP研究所)。世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
「Weather/伊坂幸太郎」、「天使/山本幸久」、「ふりだしにすすむ/中山智幸」、「ハッピーエンドの掟/真梨幸子」、「幸せな死神/小路幸也」の5つの短編が入ってる一冊。ひっかかった短編を書いてみると...。
「Weather/伊坂幸太郎」。話をしていくとドツボにはまることが多いことから、天気ネタを話していくうちに天気に詳しくなってしまった主人公。その主人公が浮気疑惑をかけられてる親友の披露宴に出席する話。これはホント伊坂さんらしいニヤっとできるどんでん返しがよかったです。
「天使/山本幸久」。77歳の高齢のおばあちゃん掏摸師(スリ師)を主人公にした物語。このおばあちゃんスリ師が、スリの途中で出会った子ども達を救う物語なんだけど、最後がちょっと切ない。でも、幸せなんだと思う。
「ふりだしにすすむ/中山智幸」。輪廻転生を描いた若干SFっぽい話。もう一度出会えるとか、一緒になれるとか、夫婦や恋人など魂のつながりがサラリと描かれてた。
「ハッピーエンドの掟/真梨幸子」。ママはキャバレーのホステスで、夜は家にいないけど、でもカラーテレビはあるし、出前で炒飯と餃子を食べれるし、エンゼル・フィッシュは飼えるしと、それはそれで幸せを感じている女の子が主人公。これも最後にどんでん返しがあるけど、他人が押し付ける幸せって、ちょっとウザイと思わせる話だった。
「幸せな死神/小路幸也」。人の死を看取る役目の死神が主人公。その不幸の代名詞のような死神がなにに幸せを感じるかという話。これもささやかで強くてよかったです。あの伊坂幸太郎さんの「死神の精度」も好きだけど、これもいい。
やっぱり、震災から1年がたって3月に出版された「幸せ」についての本。でっかい幸せもささやかな幸せもあって、なんとか生きられることがサラッと書かれてました。いい短編です。
で、実はこの5人の作家さんで知っているのは、伊坂幸太郎さんだけ。今回、真梨幸子さんに触れられて、「殺人鬼フジコの衝動」がとても読みたくなった。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000/2003)
- ラッシュライフ (2002/2005)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003/2006)
- 重力ピエロ (2003/2006)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003/2006)
- チルドレン (2004/2007)
- グラスホッパー (2004/2007)
- 死神の精度 (2005/2008)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2008)
- 砂漠 (2005/2008)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
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