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Tuesday, September 04, 2012

「初恋温泉/吉田修一」を読んだ

Shuichiyoshida_hatsukoionsen ちょいちょい読んでる作家のひとり、吉田修一氏。桜新町のTsutayaで買ってみた「初恋温泉」(集英社文庫)について。
 これ、温泉を訪れた5つのカップルが感じたり、気づいたりする気持ちをつづった5つの短編集。熱海、青森、京都、那須、そして黒川の温泉がそれぞれの舞台になっている。それぞれこんな話。
 ・「初恋温泉」(熱海「蓬莱」)
 いくつかの居酒屋店を苦労して成功させた重田は、温泉旅行の前日に妻から離婚を切り出された。温泉で出会ったころのことから今までを思い起こし、2人の間にいつのまにかにできた隙間を思う...。
 ・「白雪温泉」(青森「青荷温泉」)
 結婚を前にした辻野と若菜は、コンパではどちらも盛り上げ役の似たもの同士の脇役的なカップル。彼らが温泉の離れで隣り合った客は、とても物静かな夫婦だった...。
 ・「ためらいの湯」(京都「祇園 畑中」)
 それぞれ妻と夫のいるにもかかわらず、不倫を重ねる元同級生の男女が、京都の温泉でおちあうことになった。ふとした瞬間に相手の配偶者の様子を思い知ってしまう...。
 ・風来温泉(那須「二期倶楽部」)
 生命保険の営業マンが、妻を置いてひとりで那須の温泉に向かう。妻はあんなに温泉旅行に行きたいと言っていたのに...。
 ・純情温泉(黒川「南城苑」)
 高校生の健二と真希は、親に嘘をついて温泉へ行くことに。初めて外泊に妄想しまくる健二と、家族のごたごたから男の人は浮気をするものだと考えてしまう真希...。

 これ、どの話も温泉という日常から離れた場所で、一緒に過ごす人や自分自身に向きあい、お互いの本音や日ごろわかっていなかった気持ちに気づくというもの。どこかあたたかくて、ほろ苦くて、淡々としているけど、やっぱりにひっかかる。静がにさらっと描かれているけど、その分印象深いものになっているのかもしれない。
 非日常の中だからこそ気づくこと。いい短編集だった。

cf.吉田修一 読破 List
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- ランドマーク (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- 静かな爆弾 (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- 悪人 (2007)
- あの空の下で (2008)

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