「太陽は動かない/吉田修一」を読んだ
ちょいちょい読んでる作家のひとり、吉田修一氏。世田谷中央図書館で借りた「太陽は動かない」(幻冬舎)について。
こんなあらすじ。表向きはアジア各地のファッションやリゾート情報などを扱う小さなニュース通信社だが、裏では産業スパイとしての別の顔を持つAN通信の鷹野一彦は、部下の田岡と共に、新油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件の背後関係を探っていた。調査を進めるうちに鷹野は、企業間の提携交渉を妨害する意図で、ウイグルの反政府組織による天津スタジアム爆破計画があるとの情報を入手した...。
いち早く機密情報を手に入れ高値で売り飛ばすという産業スパイが繰り広げる情報戦の中、誰が巨万の富を得るのかを描いたエンターテインメント小説。結構分量のある長編小説だけど、テンポが良くて、読み応えがある。情報が命の中、お互いをだまし合い、敵になったり味方になったり、情報を手に入れるためならば危険をも冒していく流れが本当に面白い。しかも、特に主人公である鷹野の生い立ちが明らかになり、その中で生きるための執着心の凄まじさが痛々しかった。で、個人的には上海の浦東、ベトナム、芝浦倉庫など行ったことがある場所が出てきたのもよかった。
日中の政治家も巻き込み、産業スパイの暗躍を描いた企業競争のエンタメなノンストップ・アクション小説。ほんとにおもしろかった。これはお勧めです。
cf.吉田修一 読破 List
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- ランドマーク (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- 静かな爆弾 (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- 悪人 (2007)
- あの空の下で (2008)
- 太陽は動かない (2012)
« 「Asian Kung-Fu Generation Presents Nano-Mugen Compilation 2012/Various Artists」を聴いた | Main | 尾道ラーメン 東珍康 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「リバー/奥田英朗」を読んだ(2024.08.15)
- 「永遠と横道世之介/吉田修一」を読んだ(2024.07.31)
- 「キネマの神様」を観た(2024.07.22)
- 代官山通信 Vol.166(2024.07.19)
- 「お帰り キネマの神様/原田マハ」を読んだ(2024.07.18)
Comments