「しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨」を読んだ
伊坂幸太郎さんの短編が読めるということで、世田谷中央図書館で借りて読んでみた伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 共作の短編集「しあわせなミステリー」(宝島社)について。
これ、"人の死なない"しあわせなミステリーが4つ収められた短編集。それぞれこんなあらすじ。
・「BEE/伊坂幸太郎」:
腕はいいけれど妻に頭が上がらない恐妻家の殺し屋"兜"は、普通の会社員だと思っている妻、大学受験を控えた息子と暮らしていた。そんな兜は、仲介業者から東北新幹線はやてで亡くなったはずの同業者のスズメバチに狙われていると忠告され、警戒心を抱いていた。その最中、兜は家の庭に偶然できた蜂の巣と格闘することになる...。
・「二百十日の風/中山七里」:
村が産廃処理施設を誘致することにしたという中、自然破壊や大切な思い出を守るため、誘致に反対する小学校教師の"城崎夏美"。一方、役所と手を組み、誘致計画を推し進めるのは、久部建設を経営しする幼馴染の"久部圭市"。そんな中、施設の建設が始まったとき、そこにあった慰霊碑が忽然と姿を消す...。
・「心を掬う/柚月裕子」:
米崎地検で事務官を務める"増田"は、年下の直属担当検察官"佐方貞人"に命じられ、出したはずなのに先方に届かない郵便物について調べることになった。そして、春先のお祝いシーズンに普通郵便で出したお祝い金が盗まれていたがわかった。そして、佐方と増田は郵政監察官と協力し、局員である犯人を追いつめていく...。
・「18番テーブルの幽霊/吉川英梨」:
予約名、予約方法もばらばらだが、毎週火曜日の夕方にテーブル指定の予約が入るが客が現れたことは一度もない「幽霊に呪われた18番テーブル」の謎を解くために、"原健太"は、友人"瀬名幸治"がギャルソンとして働くイタリアンレストランへ異母妹"菜月"と行くことになった...。
それぞれ、ほわっと心暖まるミステリーなので、そんなにドキドキする話ではないけど、やっぱり面白かったのは伊坂幸太郎さんの「BEE」。「グラスホッパー」や「マリアビートル」の殺し屋系小説の番外編的位置づけの作品なんだけど、殺し屋を辞めるために殺し屋を続けている兜の話は、あまりに人間味にあふれていて、コミカルで、どこか抜けてる感じが楽しい。やっぱりうまいよね。
というわけで、伊坂幸太郎さんの作品めあてで読むのはありだと思う短編集だった。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000/2003)
- ラッシュライフ (2002/2005)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003/2006)
- 重力ピエロ (2003/2006)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003/2006)
- チルドレン (2004/2007)
- グラスホッパー (2004/2007)
- 死神の精度 (2005/2008)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2008)
- 砂漠 (2005/2008)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
- しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 (2012)
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