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Wednesday, November 21, 2012

「ロードムービー/辻村深月」を読んだ

Mizukitsujimura_roadmovie ぼちぼち読んでる辻村深月さんの作品。三茶Tsutayaで買って読んでみた「ロードムービー」(講談社文庫)について。
 これ、辻村深月さんのデビュー作の「冷たい校舎の時は止まる」の登場人物を絡めた短編も入ってる短編集。それぞれこんな話。
 ・「街灯」:
 司法試験を目差している"鷹野"は、勉強に行き詰まると、夜の街に自転車を走らせ、彼女のマンションの前の街灯の下で彼女の部屋の明かりを見つめ、落ち着きを取り戻すのだった...。
 ・「ロードムービー」:
 勉強も運動もできる小5の"トシ(慧)"は人気者で、児童会長を目差していたが、いじめられっ子の"ワタル"と仲良くなったことで、リーダー格の"新田アカリ"の反感を買い、クラスのいじめの標的となってしまう。学級委員選でアカリに大敗し、精神的に追い詰められていたトシは、ワタルから「児童会長になろう」と薦められる...。
 ・「道の先」:
 塾で講師のバイトをしている大学生の"俺"は、美人で成績がいいが講師の好き嫌いが激しい中学生"大原千晶"に気に入れらていた。常に目立ち、華やかな生活を楽しんでるように見えた千晶と接しているうちに、昔自分自身が苦しんでいた思いに千晶がとらわれていることに気づいた。そして、「いいから聞いて。千晶ちゃんは、いつか絶対平気になる。僕たちは、どこにでも行けるし、変っていく。僕には言える。いつか絶対に平気になる日が来る」...。
 ・「トーキョー語り」:
 高校生の"さくら"のクラスに、東京からおしゃれで華やかな"薫子"が転校してきて、一躍クラスの人気者になった。しかし、薫子が中3の時に転校してきた"遠山"のようにクラスで孤立しなければいいというさくらの懸念が現実となり、薫子と薫子をかばった遠山は、クラスの実力者"一美"の仕打ちに会う...。
 ・「雪の降る道」:
 "ヒロくん"は、「ひまわりさん」という場所で友達になった、大好きな"ヒロちゃん"が彼のお母さんに殺されてしまったことにショックを受け、病気になってしまう。ヒロくんの友だちの"みーちゃん"は、ヒロくんが学校を休むたびに、何か必ずお土産を持って来るようになった。みーちゃんは、自分の持っているものをヒロくんに与え、悲しみを少しでも分かち合おうとしたが、ヒロくんにとっては迷惑でしかなく、ついついみーちゃんにあたってしまう...。

 どの話も思春期に感じる切実な痛みや迷いを、彼ら彼女らの目線で描いた作品。そんな悩みまくった時期は過ぎて行き、「あの頃の僕に伝えたい。『大丈夫、いつかきっと平気になるときが来るから』って」ということになる。これが大人になるということかもしれない。常に悲観的に考えて苦しんでいても、今となれば懐かしくて、たまに思い出したくなる。そんな話ばっかりだった。でも、大人になっても悩みまくることもたくさんある。きっとじいさんになれば、さらに達観し、解脱するのかも。
 いつか八王子の小学校、中学校、横浜の高校の校舎を見てみたいものだ。晩秋にぴったりな短編集だった。

cf. 辻村深月 読破 List
- 冷たい校舎の時は止まる (2004)
- 凍りのくじら (2005)
- ぼくのメジャースプーン (2006)
- ロードムービー (2008)
- 太陽の坐る場所 (2008)
- ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (2009)
- 光待つ場所へ (2010)
- ツナグ (2010)
- 本日は大安なり (2011)
- オーダーメイド殺人クラブ (2011)
- 水底フェスタ (2011)
- サクラ咲く (2012)

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