「サイレント・ブラッド/北林一光」を読んだ
今年読んだ本の中でも、とってもよかった本の一冊である北林一光さんの「ファントム・ピークス」。その北林一光さんの遺作「サイレント・ブラッド」(角川文庫)を三茶TSUTAYAで見つけたので、これまた読んでみた。
こんなあらすじ。半年前に突然失踪した父親の行方を訪ね大学生の"一成"は、父親の車が発見された長野県大町市にやってきた。車の発見現場にいた一成の前に、女子大生の"深雪"が現れ、深雪は隣に住む超能力者"オババ"にの「タケルが来たから呼んでこい」と言われてきたらしい。一成は、美雪の手伝いを受けつつ、ゴールデンウィークの間、父の足取りを追うことになったが、そこには意外な父の秘密が隠されていた...。
「タケル」という名前と、「カクネ里」という秘境にすべての謎の鍵があるというサスペンスミステリーなホラー小説。執拗なほどの山についての緻密な表現が、山に暮らすことに厳しさと自然が持つ美しさを伝えてくれる。その一方で、徐々にわかってくる桃源郷伝説や落人伝説に繋がり、恐ろしいオカルトにまでに発展していく。まさに「山に対する畏敬が、底なしの恐怖へと変貌する」と書いた貴志祐介さんの気持ちが本当にわかる。完全に引き込まれてしまった。
この「サイレント・ブラッド」は長野県大町市が舞台。前回読んだ「ファントム・ピークス」もそうだったけど、小説に出てくる地名がどっかで聞いたことがある場所ばかり。「JR大糸線」とか「大町温泉郷」とか「天狗岳」とか「鹿島槍ヶ岳」とか...親近感が湧いてくる。ぜひ長野在住の人々に読んでいただき、感想を聞きたい。
ちなみにこの作者である北林一光さんは、この「サイレント・ブラッド」と「ファントム・ピークス」を書いてお亡くなりになっている。ご冥福をお祈りします。
cf.北林一光 読破 List
- ファントム・ピークス (2007)
- サイレント・ブラッド (2011)
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