「夜の国のクーパー/伊坂幸太郎」を読んだ
ずっとハマって読んでいる作家のひとり伊坂幸太郎氏。今年2012年の5月に刊行された「夜の国のクーパー」(東京創元社)がやっと読めた。
こんな話...。この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にもこの鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない...。
この小説は、鉄国という隣国に戦争に負けてしまった城壁の国が舞台。その国に住む人間たちと猫たちと鼠たち、それに他の国から流れ着いた公務員、動く杉の木"クーパー"、そしてクーパーを退治するために集められた"クーパーの戦士たち"の物語。圧倒的な力を持つものとどうつきあうのかといった関係性を、ファンタジーの中で描いた小説だと思う。
それにしても、この小説を読んで思い出したのは、諫山創さんのあの「進撃の巨人」。城壁とか巨人とか設定や要素はかぶるけど、ダークファンタジーな「進撃の巨人」とは異なり、この「夜の国のクーパー」はどこかのどかで懐かしい感じ。これは猫の僕が語り部になっているのか大きいかと。
ともかく、不思議な世界を描いた大人向けのファンタジー。伊坂幸太郎さんらしい伏線も満載だった。今回も面白かったです。
cf.伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000/2003)
- ラッシュライフ (2002/2005)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003/2006)
- 重力ピエロ (2003/2006)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003/2006)
- チルドレン (2004/2007)
- グラスホッパー (2004/2007)
- 死神の精度 (2005/2008)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2008)
- 砂漠 (2005/2008)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「Live Forever:Oasis 30th Anniversary Exhibition/リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展」パンフレットを読んだ(2025.01.17)
- 「黒牢城/米澤穂信」を読んだ(2025.01.15)
- ROCKIN'ON JAPAN DECEMBER 2024(2025.01.10)
- 「ジェンダー・クライム/天童荒太」を読んだ(2024.12.26)
- 「人間標本/湊かなえ」を読んだ(2024.12.06)
Comments