「エンプティスター/大崎善生」を読んだ
ほとんどの小説を読み尽してしまった大崎善生さんの作品。「パイロットフィッシュ」、「アジアンタムブルー」に続く三部作、「エンプティスター」(角川書店)。世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
こんな話。大切な恩人を大韓航空機撃墜事件で失い、それがきっかけで恋人と別れ、30代でも恋人をニースで失った"山崎隆二"。45歳になった今も年下の恋人に去られ、空虚なままで生活を送っていた。翻訳の仕事もせず、かつて一緒に働いていたアダルト雑誌編集者"五十嵐"やライターの"高木"と再会した山崎のもとに、かつての友人の女性からの助けを求める電話がかかってきた...。
風俗嬢と韓国裏社会に翻弄される中、主人公が闇の人身売買的組織に挑むという物語。展開的にはスリリングで、周りの人間にも危害が襲っていく。だんだんと引き込まれていき、最後はイッキに読んでしまった。
この本も大崎善生さんらしい繊細で、1つ1つを丁寧に描きつつみ、全体的には喪失感と空虚感漂うものだった。ま、恋愛三部作なんだけど、サスペンスは要素も強い。ラストは好みが別れると思うし、賛否両論ある本だと思うけれど、個人的には読んでよかった。まだまだ読んでいきたい作家のひとり。
cf.大崎善生 読破 List
- 将棋の子 (2001)
- パイロットフィッシュ (2001)
- アジアンタムブルー (2002)
- 九月の四分の一 (2003)
- ドナウよ、静かに流れよ (2003)
- ロックンロール (2003)
- 孤独か、それに等しいもの (2004)
- 別れの後の静かな午後 (2004)
- ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶 (2005)
- 優しい子よ (2006)
- タペストリーホワイト (2006)
- 傘の自由化は可能か (2006)
- スワンソング (2007)
- ディスカスの飼い方 (2009)
- 存在という名のダンス (2010)
- Railway Stories (2010)
- ランプコントロール (2010)
- ユーラシアの双子 (2010)
- 西の果てまで、シベリア鉄道で -ユーラシア大陸横断旅行記 (2012)
- エンプティスター (2012)
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