「球体の蛇/道尾秀介」を読んだ
ここ最近、特に読んでる道尾秀介氏さん。三茶のTsutayaで買って読んでみた「球体の蛇」(角川文庫)について。
こんな話。1992年秋、17歳の私"友彦"は両親の離婚により、あるじの"乙太郎"と娘の"ナオ"が住む隣の橋塚家に居候していた。橋塚家の奥さんと姉"サヨ"は7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。ある日、乙太郎の手伝いで白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性"智子"と出会う。彼女に激しく惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになる...。
これ、あざとい嘘や偽善や弱さや秘密や取り返しがつかない過ちをそれぞれの登場人物がかかえているという暗くて重苦しい話。真実は二転三転し、嘘や秘密があばかれるごとに人は不幸になっていく。結局、それぞれの持つ弱さは共有できないということなのかもしれない。
ともかく湿気だらけの小説だけど、人間関係はドライだってことを作者は言いたかったのかもしれない...。
cf. 道尾秀介 読破 List
- 向日葵の咲かない夏 (2005)
- ソロモンの犬 (2007)
- カラスの親指 by rule of CROW'S thumb (2008)
- 球体の蛇 (2009)
- 光媒の花 (2010)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
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