「十字架/重松清」を読んだ
ずーっとジワジワ読んでる重松清さん。今回は世田谷中央図書館で借りた「十字架」(講談社文庫)。
こんな話。同級生からいじめを受けていた中2の"フジジュン"は、「いけにえになりました」という遺書を残し、家の柿の木で首つり自殺する。いじめの首謀者である"三島"と"根本"、片思いだった"サユ"、そして「親友になってくれてありがとう」と"ユウ"...。その遺書には4人の同級生の名前が書かれていた。しかし、ユウにはフジジュンの親友だった自覚はなく戸惑う一方、フジジュンの父親"晴男"は、「親友だったんならなんで助けてくれなかった」とユウを許さない...。
この話、自ら命を絶った少年と残された人々のその後のつらい人生を描いた小説。いじめを止めず、ただ見ていた傍観者の罪を問うとっても痛いもの。
で、この話でグサっとささったのは人を責める言葉の話。人を責める言葉には"ナイフの言葉"と"十字架の言葉"があり、ナイフの言葉は胸に突き刺さる痛い言葉だが、痛いのは刺された瞬間だけ。一方の十字架の言葉は生きている限りその言葉を背負い続けなければいけない。これはほんとにそうだと思った。
それにしても、最後にフジジュン目指したというスウェーデン・ストックホルムにある"森の墓地(スコーグスシュルコゴーデン)"。確かに素敵な場所だと思った。いつか行ってみたい。
cf. 重松清 読破 List
- 舞姫通信 (1995)
- 見張り塔からずっと (1995)
- ナイフ (1997)
- カカシの夏休み (2000)
- ビタミンF (2000)
- リビング (2000)
- 口笛吹いて (2001)
- 流星ワゴン (2002)
- きよしこ (2002)
- 熱球 (2002)
- 疾走 (2003)
- 送り火 (2003)
- 卒業 (2004)
- いとしのヒナゴン (2004)
- みんなのなやみ (2004)
- その日のまえに (2005)
- きみの友だち (2005)
- 小学五年生 (2007)
- カシオペアの丘で (2007)
- くちぶえ番長 (2007)
- 青い鳥 (2007)
- ブルーベリー (2008)
- せんせい。 (2008)
- みぞれ (2008)
- 季節風 冬 (2008)
- あの歌がきこえる (2009)
- 再会 (2009)
- 十字架 (2009)
- ポニーテール (2011)
- ロング・ロング・アゴー <「再会」改題> (2012)
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