「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実/真梨幸子」を読んだ
2012年で読んだ本の中でもひっかかった1冊である真梨幸子さんの「殺人鬼フジコの衝動」。その流れで読みたかった「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」(徳間文庫)を三茶Tsutayaで買って速攻読んだ。
こんな話。男女数名を凄絶なリンチの末に殺した罪で起訴されるも無罪判決を勝ち取った"下田健太"。その母親である"茂子"からの月刊グローブ編集部に、独占取材に応じるという電話が突然入った。茂子は稀代の殺人鬼として死刑になった"フジコ"の育ての親でもあった。そして、茂子のもとに編集者たちは取材に向かったが、そこで彼らを待ち受けていたものは...。
前作「「殺人鬼フジコの衝動」を読んで、フジコに対する虐待やいじめや暴力がこれでもかと続き、そのフジコが大人になり、大嫌いだった母親にどんどん似ていき、虐待やいじめを行っていくという虐待の連鎖に衝撃と不愉快さを感じたものだったけど、短編「私は、フジコ」も読み、やっと後編である「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」にたどり着いた。この後編で一番不愉快さを感じたのは編集者"里佳子"のくだり。茂子のもとを訪れた里佳子がなぜに逃げ出さないのかにイライラさと歯がゆさを感じつつも、追いつめられた者の心理がリアルに伝わってきて、ここはいやーな気分になった。
それにしても、この後編でも様々な人物が登場するが、誰もが死刑になった"フジコ"と何らかのつながりを持っていて、フジコをめぐる悪縁にうんざりしつつも、イッキに読めてしまった。この構成力とスピード感はなかなかのものだ。
ともかくここまで酷くて、読んでて不愉快になる小説は、3巻合わせてほんとまれ。ただただやられました。
cf. 真梨幸子 読破 List
- 殺人鬼フジコの衝動 限定版 (2008)
- 私は、フジコ~殺人鬼フジコの衝動 限定版 (2012)
- インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
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