「ひなた/吉田修一」を読んだ
ここ最近集中的に読んでいる吉田修一さん。これも三茶TSUTAYAで買って読んでみた「ひなた」(光文社文庫)について。
こんな話。有名ブランドHに就職したばかりの新人広報"新堂レイ"は、海で偶然再会した同級生の"大路尚純"と昨年夏から付き合っている。その尚純は一浪した大学生で、文京区小日向の実家に家族と暮らしている。その実家に尚純の兄"浩一"と兄の嫁"桂子"が引っ越してくるとことになった。桂子はファッション誌の副編集長で、信用金庫で働いている浩一には離婚しそうな友人"田辺"がいた...。
レイと尚純と桂子と浩一という4人の男女がそれぞれの立場から語り手となり、4人の視点で四季ごとに話をつなげていく構成の小説。それぞれが絡まる恋人関係、夫婦関係、家族関係、友人関係は、一見穏やかで華やかに見えるんだけど、その関係には裏と表がある。彼らのそんな日常の中には出生の秘密や同性愛や不倫が潜んでいて、ちょっとした嘘と猜疑心を隠しつつ、不安定さの中でうまくバランスをとってる感じ。
まさにちょっとした嘘をつくことで不安になって、その微妙な不安を繕うために嘘を続けていくという日常に潜んでいる毒がさらっと描かれている。ほんと吉田修一さんはうまい作家だ。
cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
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