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Monday, May 27, 2013

「プール/松久淳+田中渉」を読んだ

Atsushimatsuhisawatarutanaka_pool この5月連休の時、自宅の本棚を整理していてたまたまみつけた松久淳+田中渉の「プール」(小学館)。綺麗な表紙の写真にひかれてもう一度読んでみた。
 こんな話。ある日、30歳でひとり暮らしをしている"叶井瑞江"に差出人不明のこんな手紙がポツリポツリと届きはじめた。しかもその手紙はいずれも、縦書きの便せんに水性ボールペンで書かれ、最後のページの一部がきれいに切り取られていた。また、彼女の友人"広戸壮一"は、突然自動車メーカーを辞め、アメリカを放浪中だったが、広戸の頭の片隅には、高校時代に付き合っていた同級生"薫"の存在があった...。
 これ、80年代前半の長野、90年代後半の東京そしてアメリカ西部を舞台にした物語。差出人不明の手紙という投函されないラブレターが、時を越えて思いをつなぎ、響き合っていく。水泳やスキーに頑張った高校生時代、社会に出て様々な問題を抱えながらなんとかやりすごしている今の状況、癌と言う不治の病を背負ったもの、そして自分を見つめ直す旅に出たもの...。届き続ける手紙を挟みながら、過去と現在が交差しながら話が進んでいくんだけど、登場人物の多さもあって、前半は物語の流れがわかりづらかった。それでも物語のトーンはとても静かで、特に静寂した夜のプールの凛とした冷たさとかはよく伝わってきた。
 この本は表紙の写真とあいまって、その情景が浮かんでくる詩集のような1冊だった。

cf. 松久淳 読破 List
- プール (2002)

cf. 田中渉 読破 List
- プール (2002)

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