「残り全部バケーション/伊坂幸太郎」を読んだ
ずっとハマって読んできてる作家のひとり伊坂幸太郎氏。去年2012年12月に刊行された「残り全部バケーション」(集英社)、世田谷中央図書館に予約してやっと順番がまわってきた。
裏稼業コンビ"溝口"と"岡田"をめぐる5つの連作集。それぞれこんな話。
・「残り全部バケーション」:
父の浮気が発覚し、早坂夫婦は離婚することになり、しかもその娘は一人暮らしをはじめることになる。そんな一家離散となる早坂家三人家族がバラバラになる最後の日、"岡田"と名乗る若い男から父のPHSに"ドライブに行きませんか"という不思議なメールが届いた...。
・「タキオン作戦」:
路上で見かけた小学生の身体に虐待の痕跡を"岡田"は見つけた。少年の父親による虐待ということを知った"岡田"は、突拍子もない作戦で父親に接近しようとするが...。
・「検問」:
"溝口"とその相棒に呼ばれる男、そして車に閉じ込められた女性。警察の検問が前方に迫り、この車は検問を通り抜けることができるのか...。
・「小さな兵隊」:
普段は目立たないクラスメイトの"岡田君"は、校門をペンキで塗るなど意味不明ないたずらを重ねていた。はたして"岡田君"は問題児なのか...。
・「飛べても8分」:
交通事故に遭い、大けがを"溝口"。入院した病院の患者や看護士たちと穏やかに過ごしていたが、その同じ病院には意外な人物も入院していたことがわかった...。
裏社会の下請け稼業にいそしむ"溝口"と"岡田"のコンビと、彼らが出会う人々との物語。離婚する中年夫婦と娘、父親から虐待されている小学生、車に閉じ込められた女性、少年時代の問題児?"岡田"を知る男性、そして入院した"溝口"...。どの話も相変わらずの伏線だらけの物語が二ヤリとさせてくれる。ちなみに表題の「残り全部バケーション」は、「Re-born はじまりの一歩」に収録されていた話だったので、既読だったんだけど、あらためていい話だなって思った。
それにしても「残り全部バケーション」って素敵な言葉だな。「私も人生を満喫する!今日から残り全部バケーション、宿題はなしで」なんて言えたらどんなに幸せだろう。
cf. 伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000)
- ラッシュライフ (2002)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003)
- 重力ピエロ (2003)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003)
- チルドレン (2004)
- グラスホッパー (2004)
- 死神の精度 (2005)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2005)
- 砂漠 (2005)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
- しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 (2012)
- 最後の恋 MEN'S -つまり、自分史上最高の恋。-/朝井リョウ・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・越谷オサム・白石一文・橋本紡 (2012)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 残り全部バケーション (2012)
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