「影法師/百田尚樹」を読んだ
「永遠の0(ゼロ)」を読んで以来、ジワジワ気になりつつある百田尚樹さん。今回世田谷中央図書館で借りて読んでみた「影法師」(講談社文庫)について。
こんな話。下士の家に生まれ、幼い日に目の前で父親を切り捨てられた"勘一"(のちの名倉彰蔵)と中士の家の次男に生まれ、剣も才も人並み外れて優れた"彦四郎"。2人は下士と中士の壁を乗り越えて親友となった。のちに下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は、彦四郎の不遇の死を知り、その死の真相を追う...。
これ、簡単に言ってしまうと貧しい育ちの主人公"勘一"が勇気とともに自己の才気を開花させ登っていくサクセスストーリーなんだけど、その裏でまるで影法師のように自己犠牲をしていた親友"彦四郎"の存在がわかっていくという悲しい物語。その親友の自己犠牲に大成して初めて気づくという悲劇が凄まじい。しかも、この文庫本版には幻のもう一つの結末"終章"が巻末袋とじで収録されていて、この話がさらに切ない。ちょっと涙腺ゆるんでしまった...。
「永遠の0(ゼロ)」の読後感もよかったけど、この「影法師」もとても読み応えがある小説だ。百田尚樹さんの本、もっと読んでいきたいと思う。
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