「モンスター/百田尚樹」を読んだ
最近ジワジワ気になってる百田尚樹さん。今回世田谷中央図書館で借りて読んでみた「モンスター」(幻冬舎文庫)についてちょっと書いてみる。
こんなあらすじ。瀬戸内海に面したの古い田舎町でレストラン"オンディーヌ"を営む絶世の美女"美帆"。誰もが魅了される彼女の顔は、かつて畸形的なまでに醜くく、周囲からバケモノ扱いされる日々を過ごしていた。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけて徹底的に整形し変身を遂げていく...。
これ、あまりに醜い外観による差別、風俗で稼いだお金ととまらない整形手術、そして醜い少女時代に蔑んだ人達への復讐といったドロドロのサスペンス小説かと思って読み出したら、ひとりの女性の切なくて執念にあふれた純愛物語だった。で、見た目という外観に惹きこまれる人間の姿、無邪気に蔑み続ける人間の姿、卑屈になっていく人間の姿、絶対的な力を持って復讐する人間の姿...そんな人間の姿に潜む「心の闇」と、人間の「美しさ」のあり方、とらえ方が徹底的に描かれていた。しかも風俗の世界と整形事情も徹底に描かれてて、これも凄まじかった。
それにしても、美しく生まれた人からのなにげないひとことが与える心の一生の傷とかがうまく書いてるなぁって思ったし、執念やトラウマまみれの主人公が実は超ポジティブな生き方の持ち主だったというギャップもよかった。ともかく、残酷だしドロドロな小説だけど、エンタメって意味では面白かった。この百田尚樹さん、だんだんハマってきた。
cf. 百田尚樹 読破 List
- 永遠の0(ゼロ) (2006)
- モンスター (2010)
- 影法師 (2010)
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