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Wednesday, July 03, 2013

「元職員/吉田修一」を読んだ

Shuichiyoshida_motoshokuin ここ最近集中的に読んでいる吉田修一さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「元職員」(講談社)について。
 こんな話。栃木県の公社職員である"片桐"は、タイの首都バンコクのスワンナプーム空港に降り立った。片桐は到着した翌日、屋台で"津田武志"というバンコクで働く青年に出会い、"ミント"と名乗る美しい娼婦を紹介された。ミントと2人、バンコクの町や遺跡アユタヤをさまよう中で、片桐が持つある秘密が次第に明らかになっていく...。
 これ、公金横領という犯罪に身を染めた地方に住む会計課の職員が、タイで経験し見た世界を描いた犯罪小説。美しい娼婦、日本に残した妻、重ねまくった嘘と罪、現実逃避の末に高級ホテルのスゥイートホテルやアユタヤやムエタイでの事、そしてどうにかなるんじゃないかという希望的観測に流れていく人間の弱さが淡々と描かれている。
 罪の意識にさいなまれつつも、現実から逃亡した男が繰り返す桃源郷の日々と人間の持つ弱さと劣等感がジワジワと染み込んでくる。タイという東南アジアのベトベトした空気感、ベトベトした果実の汁、汗が止まらない蒸し暑さと町の喧騒とともに、いやーなものが染み込んでくる。この小説はほんとに後味が悪い。

cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)

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