「震える牛/相場英雄」を読んだ
品川駅の本屋で平積みされいるのをみて、ちょっと読んでみたくなった相場英雄さんの「震える牛」(小学館文庫)。ちょっと書いてみます。
こんなあらすじ。警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する"田川信一"は、発生から2年が経ち未解決のままの"中野駅前居酒屋強盗殺人事件"の捜査を命じられる。初動捜査では、その荒っぽい手口から犯人を金目当ての不良外国人に絞り込んでいた。田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的にいま一度洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことをつかみ、ベンツに乗れるような人間が、金ほしさに居酒屋を襲うだろうかという疑問を抱く。この事件で偶然同時に殺害されたかにみえる2人の被害者、仙台在住の獣医師と東京の産廃業者のつながりを探り続けた田川は、大手ショッピングセンターの地方進出とそれに伴う地元商店街の苦境、そして日本の構造変化と食の安全が事件に大きく関連していることに気づいた...。
普通の人々が日々口にする加工食品の安全性や地方都市の衰退に伴う様々な利権問題がからんだ難事件を描いた犯罪小説。この難問を地道な地取り鑑取りを繰り返し、メモを取りまくって整理して解いていく昔堅気の捜査官"田川"の姿がとてもいい。その田川の姿を丁寧に描きつつ、捜査が進んでいくプロセスがわかりやすく書かれていて、とても読みやすかった。
今回の作品は、BSE問題や食品偽装問題がテーマになっていて、日ごろ食べてる居酒屋の料理やファーストフードの肉が本当に安全なのかということを改めて考えさせるものだった。それにしてもラストはいい意味で意味深な終わり方になっていて、この続きを読んでみたいと思うもの。重厚で読み応えのある一冊だと思います。
cf. 相場英雄 読破 List
- 震える牛 (2012)
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