「ノエル-a story of stories-/道尾秀介」を読んだ
ここ最近、ガンガン読んでる道尾秀介氏さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「ノエル-a story of stories-」(新潮社)について。
これ、「光の箱」、「暗がりの子供」、「物語の夕暮れ」という3つの中編小説とそれらが1つにつながる「四つのエピローグ」から成る連作集。こんなあらすじ。
クラスのメンバーからの理不尽な暴力やいじめから逃れるに、絵本作りを始めた中学生の"圭介"と"弥生"。妹の誕生と祖母の病で不安に陥り、絵本に救いをもとめる少女"莉子"、そして最愛の妻を亡くし、生き甲斐を見失った老境の元教師"与沢"。それぞれが作った童話という物語がそれぞれの人生をつないでいく...。
チェーン・ストーリーとのことで3つの話がそこはかとなく関係があるものの別々に進んいき、それが最後にうまくつながっていく。で、それぞれに伏線があり、そのあたりの関連性と謎解きはさすが道尾秀介氏さんという感じ。そんないい意味でのトリックと技があるこの連作集だけど、そこに流れているものは優しさ。途中暗い話も出てくるんだけど、読後は温かい気持ちになれた。加えて、途中途中に差し込まれる童話がいい。赤鼻のトナカイの話、カブトムシとヤモリの話などなどどの話も示唆に富んでいて、ホッとしつつも考えさせられた。季節の変わり目でちょっと蒸し暑い日もあるけど、これからの季節にぴったりな話だと思います。ちょっとお勧め。
cf. 道尾秀介 読破 List
- 向日葵の咲かない夏 (2005)
- 片眼の猿 -One-eyed monkeys- (2007)
- ソロモンの犬 (2007)
- ラットマン (2008)
- カラスの親指 by rule of CROW'S thumb (2008)
- 鬼の跫音 (2009)
- 球体の蛇 (2009)
- 光媒の花 (2010)
- 月の恋人-Moon Lovers- (2010)
- 月と蟹 (2010)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 光 (2012)
- ノエル-a story of stories- (2012)
- 笑うハーレキン (2013)
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