« 「Falling Down/フォーリング・ダウン」を観た | Main | 「ASIAN KUNG-FU GENERATION 10th Anniversary Live Archive SPECIAL」(Space Shower TV)を観た »

Tuesday, October 08, 2013

「女たちは二度遊ぶ/吉田修一」を読んだ

Shuichiyoshida_onnatachiwanido ここ最近集中的に読んでいる吉田修一さん。三茶Tsutayaで買って読んでみた「女たちは二度遊ぶ」(角川文庫)について。
 これ、11本の男女の苦い関係を描いた短編集。それぞれこんなあらすじ。
 ・「どしゃぶりの女」:
 友達が連れてきた2人の女性のうち、1人を家に泊めた。朝になって帰って欲しかったがどしゃぶりの雨を見てつい「止むまでいたらいい」と言ってしまう。そこから3、4日雨は降り止まず、女は部屋に居続けた。その間、女はただ居るだけど、掃除はしないし、御飯も食べない...。
 ・「殺したい女」:
 昔付き合っていた女は強烈な女性だった。たまたま入ったラーメン屋では、ヤンキーな男が声をかけてくる。彼女の家は工場で、父と兄が経営していたが、母親は昔、蒸発してしまったらしい。そして彼女の家に遊びに行くようになり、工場の仕事も手伝うようになった...。
 ・「自己破産の女」:
 居酒屋で泥酔していた女と知り合い、ノリでホテルに行ったが、次の日からその女は男の家に泊まり始めた。フリーターだった男は女が住み始めてから働なくなり、先輩の勤めているローン会社でお金を借り始めた...。
 ・「泣かない女」:
 今までうれしくても悲しくてもすぐに泣いてしまう女と付き合っていた。ある日彼女に子どもができたが、まだ結婚したくない男は友人を使って彼女に子供を堕ろすように言ってもらう。絶対泣くだろうと思っていたのに、彼女は泣かなかった...。
 ・「平日公休の女」:
 男は友人に鍋に誘われ、その彼女の家に行き、そこにいた友人の彼女の女友だちと遊ぶようになった。女はデパートの化粧品コーナーで働いていて、よくおごってくれた。順調に付き合ってたある日、女から「忘れられない人がいるんじゃないのか」と聞かれたが、「そんなのいない」と男は嘘をついた...。
 ・「公衆電話の女」:
 まだ携帯電話が普及していなかった時代、男は公衆電話に並んでいた。前には綺麗な女が並んでいてなかなか出てこなかった。数日後、その女が同じ職場の人だと気づいた...。
 ・「十一人目の女」:
 看護師をしていた女が同棲相手の男に殺された。女は別の男と浮気していて、別れを切り出した。犯人である男はなぜ女を殺したのか分からないと言って、ただひたすら謝り続ける...。
 ・「夢の女」:
 駅で友達を待っている間、2人の男は人間観察を続けていた。「ここの駅にはかわいい女がいない」なんて話していると、みんなが振り向くほどの美人が現れ、その場のノリで女の後をつけて行った。いいマンションなどに住んでいるのかと思ったら、どこにでもある普通のアパートの中に彼女は入って行った。その後数日が過ぎ、男はその女性を見かけ、思わず声をかけてしまう...。
 ・「CMの女」:
 男はあるCafeでアルバイトを始めたが、そこである女性が働いていた。このCafeのオーナーは芸能プロダクションの人物であり、彼女は芸能界で働くことを夢見ていた...。
 ・「ゴシップ雑誌を読む女」:
 男は輸出入を行うある会社に派遣社員として就職したが、その部署は課長と女性上司の3人だけの課だった。その女上司には仕事のことでいつも厳しく怒られていた。仕事をだいぶ覚えた頃のある日、男は女上司から「何か本当はしたいことがあるんじゃないのか」と聞かれる。男には特にやりたいことは何もなかったので正直に「ない」と答えると、女上司から「あっても言わないほうがいい」といわれる...。
 ・「最初の妻」:
 男が中学生だった頃、クラスの女の子と今まで行ったことのない隣町へとデートをした。その町で彼女と「もしこの家に結婚して住んだら...」という話で盛り上がる。いろいろな家を2人で見たがどうも違うという話になり、最後に彼女が指さした家は、今までの中で一番ボロイ家だった。そこで男は思わず「ありえない」と一笑してしまう...。

 何もしない女、だらしない女、気前のいい女、よく泣く女などなど、どの話も人生にありそうな出会いと別れをさらりと書かれた話ばかり。別れてからそれなりに時間が過ぎても、どこかひっかかってる女性を思い出すというもの。ちょっと男の傲慢さもあって、あんまり共感できる短編集ではなかったです。

cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 女たちは二度遊ぶ (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)

|

« 「Falling Down/フォーリング・ダウン」を観た | Main | 「ASIAN KUNG-FU GENERATION 10th Anniversary Live Archive SPECIAL」(Space Shower TV)を観た »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「女たちは二度遊ぶ/吉田修一」を読んだ:

« 「Falling Down/フォーリング・ダウン」を観た | Main | 「ASIAN KUNG-FU GENERATION 10th Anniversary Live Archive SPECIAL」(Space Shower TV)を観た »