「フリークス/綾辻行人」を読んだ
二子玉川の紀伊国屋を徘徊中、平積みされていた綾辻行人さんの「フリークス」(角川文庫)。表紙のインパクトと道尾秀介さんのお勧めというオビに魅かれてちょっと読んでみました。
ホラーテイストの強いミステリーが3編収められたの中編小説。それぞれこんな話。
・「夢魔の手-三一三号室の患者-」:
313号室に入院中の母を持つ浪人生の"神崎忠"。忠の母親は父親を刺し殺し、忠の太腿を刺し、精神錯乱状態となって閉鎖病棟へ入ることになった。ひとり残された忠は、ある日家のピアノの中に小箱を見つけたが、母親が隠し持っていた鍵で小箱を開けるとそこには身に覚えのない忠自身の日記が入っていた...。
・「四〇九号室の患者」:
交通事故で夫"芹沢峻"を亡くし、自分も大怪我を負った四〇九号室の女性患者は、その時に記憶までもなくしてしまい、自分が誰なのかわからない。目撃者の証言などからその車に同乗していたのは妻"園子"であるため、皆、女性患者を"芹沢園子"だと信じていた。しかし彼女は、会社の夫の同僚や義妹の話から、自分が峻の浮気相手"沙奈香"なのではないかと疑い出す...。
・「フリークス-五六四号室の患者-」:
とある推理作家が仲のよい探偵に、精神病患者が書いた物語の謎を解いてくれと依頼した。そこには狂気の科学者"J・M"によって人体改造を施した5人の子供のうち、"一つ目"、"傴僂"、"鱗男"、"三本腕"の誰かが、"芋虫"の命令によりJ・Mを殺害したと書かれていた。J・Mを殺したのは誰か?...。
どの話もホラー色が強いミステリー小説なんだけど、個人的によかったのはタイトルにもなっている「フリークス-五六四号室の患者-」。医学者としての才能と醜い外見に劣等感を抱えたマッドサイエンティストが、5人の子供に対して秘密裏に人体改造を行い、彼らを"怪物"と呼び、責め苛んでいたくだりは本当におぞましい。また発見された彼J・Mの惨殺死体の描写も本当におぞましい。そのようなおぞましさとともに、異形へのいびつで歪んだ行為と愛情が描かれていて、イッキにのめり込んで読んでしまった。
それにしても初めて読んだ綾辻行人さん。個人的に結構読んでる道尾秀介さんとか辻村深月さんとかとも関係性が強くて、ホラーっぽいミステリーな感じにハマるかもしれない。もう少し読んでみよう。
cf. 綾辻行人 読破 List
- フリークス (1996)
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