「シャドウ/道尾秀介」を読んだ
ここ最近、ガンガンイッキに読んでる道尾秀介氏さん。駒沢の本屋で買って読んでみた「シャドウ」(創元推理文庫)について。
こんなあらすじ。小学5年生の"我茂凰介"は、進行性の癌で母"咲江"を亡くしてしまう。それから間もなくして、幼なじみの"亜紀"の母親咲江とも親友だった"恵"が、夫の勤める病院の屋上から飛び下り自殺し、亜紀も交通事故に遭ってしまう。さらに凰介の父親"洋一郎"もまた精神に異常をきたしていく...。
父親同士、母親同士がそれぞれ同級生で、その子供同士も同級生という2組の家族において、その母親たちの死をきっかけにその裏に隠されていた両家の悲惨な過去が暴露されていく暗い小説。冷え切った家庭や統合失調症や自殺や不倫疑惑や幼児虐待や不眠薬といったエッセンスが精神病院を舞台に繰り広げていくんだけど、過去が明らかになっていく過程の中で伏線が明確になっていき、ジワジワと物語に引き込まれていった。
で、最後は親子の絆が描かれ、希望につながっていくのが救いなんだけどともかく暗い。この世界観は道尾秀介さんならではのものだし、静かな筆致の中、違和感を与えて最後はスッキリさせていくうまさは、さすが道尾秀介さんという感じ。
それにしてもガンガン読んできた道尾秀介さんだけど、「背の眼」、「骸の爪」、「龍神の雨」、「カササギたちの四季」、「水の柩」、「鏡の花」など読んでいない本もたくさんある。まだまだ楽しめる。
cf. 道尾秀介 読破 List
- 向日葵の咲かない夏 (2005)
- シャドウ (2006)
- 片眼の猿 -One-eyed monkeys- (2007)
- ソロモンの犬 (2007)
- ラットマン (2008)
- カラスの親指 by rule of CROW'S thumb (2008)
- 鬼の跫音 (2009)
- 花と流れ星 (2009)
- 球体の蛇 (2009)
- 光媒の花 (2010)
- 月の恋人-Moon Lovers- (2010)
- 月と蟹 (2010)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 光 (2012)
- ノエル-a story of stories- (2012)
- 笑うハーレキン (2013)
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