「長崎乱楽坂/吉田修一」を読んだ
去年から最近集中的に読んでいる吉田修一さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「長崎乱楽坂」(新潮文庫)について。
こんなあらすじ。父親を亡くした幼い兄弟の"駿"と"悠太"は、ヤクザの一家として賑わっていた三村家に引き取られた。三村の家では刺青の男たちが下ばき一つで集り、日々酒盛りに明け暮れていた。そんなある日、幼い駿は、若い男達が女達を連れ込んでは淫蕩にふける古びた離れの家に幽霊がいることに気づいたのだった...。
これ、昭和後期の長崎を舞台に、地方ヤクザの栄光と没落の中で成長する少年たちを描いた物語。がさつな任侠な世界、母親のかけ落ちといった世界が描かれているんだけど、その世界は栄枯盛衰で悲しいし、漂う汗臭い男たちのエロティシズムは本当に独特。読み進むうちに気分は落ち込んでいくんだけど、どこか心ひかれるし、読み終わってもなにか残る感じがする。それにしても駿はなぜ東京に向かわなかったんだろうか...。いやーひっかかった1冊だった。
cf. 吉田修一 読破 List
- 最後の息子 (1999)
- パレード (2002)
- パーク・ライフ (2002)
- 日曜日たち (2003)
- 東京湾景 (2003)
- 長崎乱楽坂 (2004)
- ランドマーク (2004)
- 7月24日通り (2004)
- 春、バーニーズで (2004)
- ひなた (2006)
- 女たちは二度遊ぶ (2006)
- 初恋温泉 (2006)
- うりずん/吉田修一・佐内正史 (2007)
- 悪人 (2007)
- 静かな爆弾 (2008)
- さよなら渓谷 (2008)
- あの空の下で (2008)
- 元職員 (2008)
- キャンセルされた街の案内 (2009)
- 横道世之介 (2009)
- 空の冒険 (2010)
- 平成猿蟹合戦図 (2011)
- 太陽は動かない (2012)
- 路(ルウ) (2012)
- 愛に乱暴 (2013)
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