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Friday, June 27, 2014

「甘い復讐/樋口毅宏」を読んだ

Takehirohiguchi_amaifukushu 最近少々ご無沙汰の樋口毅宏さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「甘い復讐」(角川書店)について。
 初めて樋口毅宏さんが書いた短編集。そろぞれこんな話。
 ・「甘い復讐」:
 元ホストの"修"は、セレブな人妻"早苗"に金品を貢がせていた。2人の仲むつまじい日々は、修にとっては甘やかな復讐の始まりだった...。
 ・「永遠とドラゴン」:
 恐ろしく鬼畜で陽気な主人公が語り手となり、自分の人生を振り返る一人称の物語。
 ・「さくらの結婚」:
 艶やかな美女とさえない男の不釣り合いと思える結婚式という一世一代の晴れ舞台で最後に仕組まれた驚愕の裏切りの物語。
 ・「ある芸者の証言」:
 有名人を旦那に持ち、叶わぬ恋に生きる芸者の心情を掬い取った日蔭の物語。
 ・「十階建てのラブストーリー」:
 十階建ての塔を舞台にした"マリア"という女性に、自分の両目を捧げるまでの物語。
 ・「余生」:
 エイズに怯える一作家の人間臭い心情を吐露した私小説。

 自分がこうなったのは親や社会のせいとでも言いたげな責任転嫁的な主人公の行動などなど、悪趣味で不謹慎でアンモラルで、著者の心にマグマのようにグツグツ煮えたぐっている悪意という人間の業が、どの小説にもこれでもかと描かれていた。個人的に特に驚愕したのは、「十階建てのラブストーリー」と「余生」。「十階建てのラブストーリー」はBruce Leeの最後の映画「死亡遊戯」をオマージュをささげた残酷な愛の物語。そして「余生」は、あけすけに自分の私生活をひけらかしていて、醜い自分の生き様をこれでもかと提示していた。
 樋口毅宏さんの本、読むたびに嫌悪感をおぼえるんだけど、ある意味真理をついていると思えるし、なぜか敗北感を感じてしまう。「タモリ論」もそろそろ読んでみたいと思う。

cf. 樋口毅宏 読破 List
- さらば雑司ヶ谷 (2009)
- 民宿雪国 (2010)
- 雑司ヶ谷R.I.P. (2011)
- 二十五の瞳 (2012)
- ルック・バック・イン・アンガー (2012)
- 甘い復讐 (2014)

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