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Tuesday, June 24, 2014

「首折り男のための協奏曲/伊坂幸太郎」を読んだ

Kotaroisaka_kubiori ずっとハマって読んできてる作家のひとり伊坂幸太郎さん。世田谷中央図書館でやっと借りれて読んだ「首折り男のための協奏曲」(新潮社)について。
 この「首折り男のための協奏曲」、7編の短編からなる連作集。"首折り男"なる人物の話であったものが、いつの間にか"黒澤"という泥棒の話に変化していき、それがまた"首折り男"に繋がるという不思議な本。それぞれこんなあらすじ。
 ・「首折り男のための周辺」:
 首を折る手口の殺し屋の話。退屈な日々を送る初老の"若林夫婦"の妻は、隣人を"首折り男"と疑う。"首折り男"に間違われた臆病な若者"小笠原"は、その男の誰かの役に立ちたい病という持病を知り、誰かのために何かができるのではないかと思い始める。そして中学校で苛めに遭っている少年"中島"は、"首折り男"に助けてもらい、大人になれば気楽になるよと教わる。この3つの話がリンクしていく...。
 ・「濡れ衣の話」:
 妻に逃げられ子供を事故で失った男"丸岡"は、恨んでいた加害者の女に偶然会ってしまい、その女を殺してしまう。丸岡は警察車両と思われた車に乗せられ事件の自白をするのだが、実はその車の運転手は冷酷無比の殺人鬼だった...。
 ・「僕の舟」:
 末期癌で余命いくばくもなく、意識もほとんどない夫の看病を続けている"若林江美"は、50年前に会った初恋の男性を探し出して欲しいと、探偵(兼空き巣)の"黒澤"に依頼した。その調査結果を黒澤から江美は病室で聞くことになったが...。
 ・「人間らしく」:
 クワガタを飼うブリーダーで、探偵(兼空き巣)の"黒澤"の友人である小説家は、2匹のクワガタを同じ部屋で飼って縄張り争いをしないかという生態実験を続けていた。そんな小説家は、ある主婦から妹に義母を介護させた挙げ句に不倫して離婚を言い渡した男として、黒澤に調査依頼されてしまう...。
 ・「月曜日から逃げろ」:
 とある蕎麦屋で、探偵(兼空き巣)の"黒澤"はテレビ制作プロダクションの男"久喜山"と初めて会ったが、そこで久喜山より番組で空き巣テクニックを見せてほしいという依頼を受け、警戒する。そんな最中、店主に代わって蕎麦湯を運んで持って来た小学生の息子からも、父(店主)がどうも久喜山が制作した蕎麦屋のドキュメンタリー番組のせいで、大迷惑を受けているという話を聞く...。
 ・「相談役の話」:
 仙台に住む文筆業の主人公に、企業家で疎遠だった大学同級生が会いたいと言って来た。その同級生の企業家は不意に、伊達正宗の重鎮"山家公頼"のことを質問して来た。その山家は領民には慕われていたが、政宗の子・宇和島藩主の秀宗の逆恨みに遭って暗殺され、首謀者達とその一族に呪いがかかったという...。
 ・「合コンの話」:
 銀座のダイニングバーで開かれた合コンには、男3人(男A、男Bの代理C、男D)と女3人(女E、女F、女G)が集まった。誕生日なのに恋人と過ごせないことに落ち込んでいた男Aを気遣った男Bは、合コン仲間の男Cを誘ってこの合コンを企画しておきながらドタキャンし、見知らぬ男DがBの代わりに参加した。一方、雑貨屋経営の女Eは、知人が合コンで出会った男Bに捨てられたのでそのBをやり込めようと参加していた。さらに、女Fはオーディション結果待ちの女優であり、女Gは男Aの元カノだった...。

 この連作集、一見寄せ集めのようなんだけど、伊坂幸太郎さんらしくさりげなくも、ある種強引に話をつなげていく。それぞれの人間模様が「協奏曲」のようにお互いに共鳴している。
 ちなみにこの「僕の舟」は、「最後の恋 MEN'S -つまり、自分史上最高の恋。-」で読んだことがあるものだったけど、個人的に一番面白かったのは、最後の「合コンの話」。実験的な構成の中、なぜに男女3対3がいいのかとか、おしぼりルールとかとても手が込んでいた。
 辛辣な表現があるのにあたたかみもあって、まさに伊坂幸太郎さんの職人技が光る1冊だった。

cf. 伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000)
- ラッシュライフ (2002)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003)
- 重力ピエロ (2003)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003)
- チルドレン (2004)
- グラスホッパー (2004)
- 死神の精度 (2005)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2005)
- 砂漠 (2005)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
- しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 (2012)
- 最後の恋 MEN'S -つまり、自分史上最高の恋。-/朝井リョウ・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・越谷オサム・白石一文・橋本紡 (2012)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 残り全部バケーション (2012)
- ガソリン生活 (2013)
- 死神の浮力 (2013)
- 首折り男のための協奏曲 (2014)

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