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Wednesday, July 02, 2014

「幸福な生活/百田尚樹」を読んだ

Naokihyakuta_kofukunaseikatsu 今年は集中的に読もうかと思っている作家のひとり百田尚樹さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「幸福な生活」(祥伝社文庫)について。
 これ、裏切りとか意外な落とし穴に陥った人々を綴った19話のショートショート。それぞれこんなあらすじ。
 ・「母の記憶」:
 女手一つで育ててくれ、今は老人ホームで過ごしている痴呆症の母を尋ねる息子。父親が家を出て行くきっかけとなった事が、池を作ってくれと息子が願ったことだった...。
 ・「夜の訪問者」:
 帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くになぜ彼女が俺の家に? 動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗みキスを迫る。彼女の目的は何なのか...?
 ・「そっくりさん」:
 夫は腕利きのフリー編集者で、忙しい時は何日も事務所に泊まって家に帰ってこない。最初はそれに不満もあったが、子供が生まれてからはそんなにも気にならない。最初は夫の浮気も疑ったが、どうやら夫はバイセクシャルらしい。夫は寝言で男の名前「ひろし」とつぶやいた...。
 ・「おとなしい妻」:
 見合いで結婚した妻は家庭的で料理の腕も上手で愛嬌があるが、人見知りで引っ込み思案なところがあった。今日も夫の留守中に勧誘を断りきれなくて2紙目の新聞を契約したところだった。それでも男は妻のことを愛していた...。
 ・「残りもの」:
 中年になるまで独身でいた女性が、知的でハンサムで手に職を持つ美容師の男と結婚でき、それに満足していた。しかし、夫は昔のことを一切語らない...。
 ・「豹変」:
 仲はとてもよいのになかなか子供が生まれない夫婦。夫は気になって、妻に黙って病院で検査を受けることにした...。
 ・「生命保険」:
 大学で指折りの美人が結婚した相手は、さえないしだらしのない男だった。彼女がその男性を選んだわけは...。
 ・「痴漢」:
 満員電車の中で、身に覚えのないのに痴漢にされてしまった。その場は示談金を払いなんとか収まったが、その後も精神的苦痛とか出社できないなどと、慰謝料を請求され続ける...。
 ・「ブス談義」:
 友人の結婚式のあと、なぜにあんなブスと結婚したのかと、口の悪い昔の友達たちと新郎を肴にする...。
 ・「再会」:
 酒癖の悪く暴力をふるう夫と別れてから10年、その夫が新しい勤務先に私を尋ねてきた。なぜ教えてもいない職場にやってきたのか...。
 ・「賭けられた女」:
 とあるパーティーで、ギャンブル好きの作家としがない編集者が、作家のポルシェと編集社の美しい妻をかけて、賭けごと勝負に挑むことになった...。
 ・「雪女」:
 母が雪道で事故を起こし、母と記憶を無くした男。男はその治療中に知り合った女性と結婚したが、その妻に数年ぶりによみがえった事故の記憶を語り出す...。
 ・「ビデオレター」:
 老妻が亡くなって49日目がたったある日、生前に録画した妻のビデオレターが夫の元に届いた。妻はそのテープの中で、夫への感謝を述べていく...。
 ・「ママの魅力」:
 ママは身長が170cm、体重100kgを超える巨漢で、授業参観でもママが来るとちょっと恥ずかしい。そんなママをパパは大好きだ。パパは、身長は168cmで、体重は50kgもない。そんなある日、ママとお使いに行くと、公園で土佐犬が暴れていた...。
 ・「淑女協定」:
 とある会社のパーティーで、社内結婚した夫婦たちがひさしぶり顔を合わせて、お互いが妻を通じて知っていた昔話は話まくる...。
 ・「深夜の乗客」:
 とある深夜、タクシー運転手が若い女性を乗せて長距離を走ることになった。高速に乗り、山道を越え、やっと家に着くと、女性は金がないから家からとってくると言って、家に入ったがなかなか戻ってこない...。
 ・「隠れた殺人」:
 謹厳実直だった父が大往生をとげた。その3人の子供達は父についての思い出を語り、父の部屋に残された箱根細工の箱をみつけ、それを開けようと試みる...。
 ・「催眠術」:
 会社の同僚から催眠術の話を聞いた夫。同じく催眠術をまったく信じていないる妻が催眠術にかかったら、夫の知らないことを次々と語り出す...。
 ・「幸福な生活」:
娘が結婚したいという彼氏を連れてくる日、夫は妻と今までの幸福な人生を追憶しはじめる。そして、今度は娘が自分と同じような幸せな人生を歩むことを願うのだった...。

 これ、すべての作品の最後のページをめくると、最後の1行に強烈なオチがついているというシートショート。そのオチは、秘密が暴露され、平穏で順風満帆な生活をおびやかされるというアイロニーだらけのものばかり。ま、読んでるうちにオチがわかってしまうものも多く、ぶっちゃけ深みも余韻も感じず、そんなにお勧めはしないけど、電車とかで軽く読むにはいい本だった。重厚な「永遠の0(ゼロ)」とか「海賊とよばれた男」を書いた作者がバラエティーの放送作家という職業でも成功してきたことがわかる1冊だと思いました。

cf. 百田尚樹 読破 List
- 永遠の0(ゼロ) (2006)
- 風の中のマリア (2009)
- モンスター (2010)
- 影法師 (2010)
- 輝く夜 (2010)
- 幸福な生活 (2011)
- 海賊とよばれた男 (2012)
- 「黄金のバンタム」を破った男 (2012)

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