「夢を売る男/百田尚樹」を読んだ
今年は集中的に読もうかと思っている作家のひとり百田尚樹さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「夢を売る男」(太田出版)について。
こんな話。丸栄社 敏腕編集者"牛河原勘治"のもとには、本の出版を夢見る人々が集まってくる。自らの輝かしい人生の記録を自叙伝として残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してたい教育ママの主婦...。そんな夢見る人々に牛河原は、著者と丸栄社が費用を折半するジョイント・プレス方式という自費出版を持ちかける...。
これ、百田尚樹さん自身が活躍している出版業界を皮肉った作品。作品コンテストや新聞広告で作家に憧れる人々から原稿を集め、駄作と知りながら著者本人に費用を負担させて本を出版するという悪徳出版社を舞台にした話。出版させるための口八丁手八丁の手口がすさまじい。
で、この本では牛河原が語る出版業界の裏事情がほんとにビックリ。日本で読書をする人達は圧倒的に少数派で、漫画や雑誌を含めても全体の12%しか本を読んでおらず、一日の平均読書時間は13分とか、その一方で書籍の出版数はBlogやYouTubeのような自己発信できるSMSツールの影響で本を書きたがる一般人が増えている話とか、一度売れた作家が没落して、名前を変えてエロ小説を書いている話とか、作家である自分自身を揶揄しながら過激に暴露されている。
自分自身も10年近くBlogを書いていて、まさに百田尚樹さんがいう自己顕示欲が強い人間だということで、なんか恥ずかしかったり、身につまされた。いやー、なかなか面白かったです。
cf. 百田尚樹 読破 List
- 永遠の0(ゼロ) (2006)
- 風の中のマリア (2009)
- モンスター (2010)
- 影法師 (2010)
- 輝く夜 (2010)
- 幸福な生活 (2011)
- 海賊とよばれた男 (2012)
- 「黄金のバンタム」を破った男 (2012)
- 夢を売る男 (2013)
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