「貘の檻/道尾秀介」を読んだ
去年あたりからガンガン読んでる道尾秀介さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた最新刊「貘の檻」(新潮社)について。
こんなあらすじ。精神を病み、家に帰ることができなくなり、妻と離婚し、仕事も失った"辰男"。電車に飛び込んで自殺しようとしていたところ、反対側のホームで見知った女性が飛び込むのを目撃する。彼女は32年前、辰男の父親が犯したとされた殺人事件で行方不明となっていた"美禰子"だった。元妻の仕事の関係で息子を預かることになった辰男は、彼を苦しめる悪夢の原因を知ろうと息子と共に故郷の長野県の寒村を訪れるが、そこで、息子が誘拐される...。
長野県の寒村を舞台に、2つの大きな旧家、かつて稲作のために作られた地下水路と穴堰、薬によって主人公を苦しめる連夜の悪夢、その村で起きた殺人事件の容疑者とその息子...寒々しく、どろどろした人間関係を描いたミステリーがこれ。悪夢の存在がつねにつきまとい、物語全体に不気味さと不安感が漂っていて、湿り気と重苦しい雰囲気いっぱいの1冊。ところどころに出てくる方言がわかりづらく、読み進めるのに苦労したけど、だんだんと謎が明らかになり、ジワジワと真相に近づけて行けた。
いやー、他人の悪夢をのぞき見る感覚って、読んでて憂鬱になっていく。でもそれが道尾秀介さんらしいミステリーだと思った。重厚だけど読み応えのある1冊でした。
cf. 道尾秀介 読破 List
- 向日葵の咲かない夏 (2005)
- シャドウ (2006)
- 片眼の猿 -One-eyed monkeys- (2007)
- ソロモンの犬 (2007)
- ラットマン (2008)
- カラスの親指 by rule of CROW'S thumb (2008)
- 鬼の跫音 (2009)
- 花と流れ星 (2009)
- 球体の蛇 (2009)
- 光媒の花 (2010)
- 月の恋人-Moon Lovers- (2010)
- 月と蟹 (2010)
- カササギたちの四季 (2011)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 水の柩 (2011)
- 光 (2012)
- ノエル-a story of stories- (2012)
- 笑うハーレキン (2013)
- 鏡の花 (2013)
- 貘の檻 (2014)
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