「プリズム/百田尚樹」を読んだ
今年、集中的に読んできた作家のひとり百田尚樹さん。三茶Tsutayaで買って読んでみた「プリズム」(幻冬舎文庫)について。
こんな話。"聡子"は世田谷にある資産家の家に家庭教師として通いだした。そんな聡子の前にこの屋敷の離れに住む青年が現れた。その青年は聡子に対して、ある時は荒々しく怒鳴り、ある時は馴れ馴れしくキスを迫り、ある時は紳士的に振る舞う...。そんな会うたびに別人のような態度を取る青年に困惑しつつも、ひかれていく...。
これ、既婚者である女と、解離性同一性障害(多重人格)の中のある人格の男との悲恋を描いた小説。最後はもともとの主人である人格に、多々ある人格が統合されていくんだけど、子供の頃の激烈な虐待の末多重人格に陥った背景とか、多重人格者が社会で生きられない話とか、ほんと知らないことばかり。ここまで多重人格について掘り下げ、彼らの複雑な人格に寄り添った話を読むのは初めてだった。ただ、1つの人格との恋に落ちていく聡子の姿はあまりに軽率で滑稽で、正直不快な気持になったのも事実。このくだりはあまり共感できなかった。
この話、同じ作者の「モンスター」と対になっているようだけど、個人的には「モンスター」の方が断然面白かった。百田尚樹さんの本、いろいろと読んできたけど、歴史物、伝記物のほうが好きかも知れない...。
cf. 百田尚樹 読破 List
- 永遠の0(ゼロ) (2006)
- 風の中のマリア (2009)
- モンスター (2010)
- 影法師 (2010)
- 輝く夜 (2010)
- 幸福な生活 (2011)
- プリズム (2011)
- 海賊とよばれた男 (2012)
- 「黄金のバンタム」を破った男 (2012)
- 夢を売る男 (2013)
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