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Tuesday, November 25, 2014

「悼む人/天童荒太」を読んだ

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 第140回直木賞受賞ということもあり、ずいぶん前から読みたいと思っていた天童荒太さんの「悼む人」</>(文春文庫)。三茶のTsutayaで買って読んでみた。
 こんなあらすじ。不慮の死を遂げた人々を"悼む"ため、全国を放浪している"坂築静人"は、Net上でひそかに"悼む人"と呼ばれていた。生前その亡くなった人は誰を愛し、誰に愛され、どのように人々に感謝されたかということのみを聞いてまわり、その人がどうして亡くなったかということにに一切触れない彼の行為は、賛否両論の中、人々に受け入れられていった。雑誌記者"蒔野"は、そんな静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始めていた。静人の母"巡子"は、ガンに冒され余命数ヶ月で、徐々に衰弱していく。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女"倖世"は静人に出会い、一緒に旅をするようになる...。
 全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける"悼む人"と、彼を巡り、夫を殺した女、人間不信の雑誌記者、末期癌の母らのそれぞれの人生がからむ長編小説。亡くなった人をいつまでも記憶に残すという行為を、この小説では"悼む"という。誰にでも平等に訪れる死を通じて、その死に様よりも生前の行為をよくも悪くもイメージすることに最初は違和感があったけど、悼まれること=ずっと覚えてもらえることが素晴らしいと思えるようになった。特に息子・静人の帰りを待ちながら末期ガンと闘う母・巡子の姿は、この夏に亡くなった父親のことを思い出し、読んでてほんとつらかった。でもおかげで父を悼むことの大切さも心に響きました。
 それにして初めて読んだ天童荒太さん、丁寧でわかりやすい日本語でとても読みやすかった。おいおい、「家族狩り」とか「永遠の仔」とかも読んでみたい。気になる作家にまた出会えた。

cf. 天童荒太 読破 List
- 悼む人 (2008)

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