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Wednesday, February 25, 2015

「女のいない男たち/村上春樹」を読んだ

Harukimurakami_onnanoinaiotoko 大昔からずーっと読んでる村上春樹さん。ずいぶん前に世田谷中央図書館に予約してやっと借りれた短編集「女のいない男たち」(文藝春秋)について。
 男の喪失感を描いた9年ぶりの短編集。それぞれこんなあらすじ。
 ・「ドライブ・マイ・カー」:
 俳優の"家福"は緑内障の徴候が見つかり運転を止められ、運転手として若い女性"みさき"を雇うことになった。彼は無くなった妻について、みさきに少しずつ話すようになった...。
 ・「イエスタデイ」:
 僕の知っている限り、ビートルズの"イエスタデイ"に関西弁の歌詞をつけた人間は、"木樽"という男一人しかない。浪人2年目の木樽とはアルバイト仲間だった。彼には小学校の頃からつきあっている女の子"えりか"がいたが彼女は現役の女子大生だった...。
 ・「独立器官」:
 僕と渡会医師はジムで知り合った。彼は52歳になるが独身で美容クリニックを経営し、同時に2、3人のガールフレンドがいるのが当たり前だった。ある日、渡会は16歳年下で夫と子供がいる女性と恋に落ちてしまった...。
 ・「シェエラザード」:
 羽原はその女をシェエラザードと名付けた。彼女は彼より4歳年上で、子供がいる専業主婦で、週に2度羽原の住む"ハウス"を訪れ、"千夜一夜物語"の王妃シェエラザードのように、性交するたびに興味深い不思議な話を聞かせてくれた...。
 ・「木野」:
 木野は会社でいちばん親しくしていた同僚と妻が裸でベッドに入っているのを目にし、会社を辞めた。そして伯母から青山の喫茶店を引継ぎ、内装を作り替え、古いジャズのアナログレコードを並べたバーを開いた...。
 ・「女のいない男たち」:
 夜中の1時過ぎの電話、見知らぬ男は「妻は先週の水曜日に自殺をしました。なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って」と言った。なぜ彼が僕のことを知っていたのか、彼女が僕の名前を昔の恋人として教えたのだろうか?...。

 どの話も乾いた文章で実はウェットな喪失感が描かれていて、じわっとくる話ばかり。個人的によかったのは「ドライブ・マイ・カー」かな。それにしても村上春樹さんの短編はほんとひさしぶり。冬の読書にぴったりな1冊でした。

cf. 村上春樹 読破 List
- 風の歌を聴け (1979)
- 中国行きのスロウ・ボート (1980)
- カンガルー日和 (1981)
- 象工場のハッピーエンド/村上春樹・安西水丸 (1983)
- 蛍・納屋を焼く・その他の短編 (1984)
- 回転木馬のデッド・ヒート (1985)
- 羊男のクリスマス/村上春樹・佐々木マキ (1985)
- パン屋再襲撃 (1986)
- レキシントンの幽霊 (1986)
- ランゲルハンス島の午後/村上春樹・安西水丸 (1986)
- ノルウェイの森 (1987)
- TVピープル (1990)
- 雨天炎天-ギリシャ・トルコ辺境紀行- (1990)
- もし僕らのことばがウィスキーであったなら (1997)
- ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
- Mr.and Mrs.Baby and Other Stories-犬の人生/Mark Strand-マーク・ストランド (1998)
- 神の子供たちはみな踊る (1999-2000)
- 海辺のカフカ (2002)
- アフターダーク (2004)
- 東京奇譚集 (2005)
- ふしぎな図書館/村上春樹・佐々木マキ (2005)
- 走ることについて語るときに僕の語ること (2007)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> (2009)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> (2009)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> (2010)
- ねむり (2010)
- 村上春樹 雑文集 (2011)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK1 <4月-6月> 後編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK2 <7月-9月> 後編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> 前編(文庫) (2012)
- 1Q84 BOOK3 <10月-12月> 後編(文庫) (2012)
- おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2/村上春樹・大橋歩 (2011)
- サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3/村上春樹・大橋歩 (2012)
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (2013)
- 恋しくて-TEN SELECTED LOVE STORIES-/村上春樹(編訳) (2013)
- 女のいない男たち (2014)

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