「地球の細道/安西水丸」を読んだ
去年2014年3月に亡くなった安西水丸さん。大学生の頃から水丸さんのイラストには触れていたし、ここ数年はWOWOWの映画番組「W座からの招待状」での小山薫堂さんとのやり取りが大好きだった。そんな水丸さんが遺した旅のエッセイとイラスト集「地球の細道」(A.D.A.EDITA Tokyo & GA Photographers)について。
これ、1999年から2014年の15年間にわたり、建築デザイン専門誌「GA JAPAN」誌に連載されたもの。水丸さんが遺した旅のエッセイとイラストなんだけど、歴史絵巻を交えたお城や城址などの遺構、寺院仏閣や海外の建造物、観てきた映画とその描かれた場所や役者たち、絵画、美術品、音楽、そして食べ物や集めていたスノードームに出会ったタクシー運転手まで、水丸さんが訪れて感じた15年分の日本・世界のガイドブックになっている。
で、特にひっかかったのは、江ノ島の海でイルカを見たくだり(藤沢)、子供の頃触れた八王子千人同心や八王子城址のこと(八王子)、エンパイアなど26年前卒業旅行で行ったN.Y.Cのこと(ニューヨーク/アメリカ)、いつかイヌイットに会ってオーロラをみたい(フォートスミス/カナダ)、マッキントッシュ建築ではなくLive Houseに行きたい(グラスゴー/イギリス)、素直にアメリカ南部のフォークアートに興味が湧いてきた(タスカルーサ/アメリカ)、2006年に一度出張で訪れ、いただいた牡蠣が絶品だったこと(シドニー/オーストリア)、担当していた6年の間、20回以上出張した上海について(上海/中国)、2007年プライベートで訪れたマレーシア、マラッカで食べたチキンライスが美味かったことを思い出した(クアラルンプール~マラッカ/マレーシア)、小説「村上海賊の娘」を読んで村上水軍に興味津々(広島県尾道市~愛媛県今治市)、一度縄文杉を見たいと思っていた(鹿児島県屋久島)、一度坂本竜馬の銅像を見たいと思っていた(高知県土佐市)、トキを見たいと思っていた(新潟県佐渡島)、2009年に出張で訪れ、イカ墨のパエリアが絶品だった(モロッコ)、2007年に出張で訪れ、大量の黒胡椒のソースが蟹にまみれていたペッパークラブがうまかった(シンガポール)、ちょうどWOWOWでこの様子を観てた(カンヌ/フランス)あたり。
どこかボクトツとしながらも、変なところにこだわってて、でもしっかりと裏を取ってて、水丸さんの人間のデカさをあらためて知りました。あらためて水丸さんのご冥福をお祈りします。
cf. 安西水丸 読破 List
- 象工場のハッピーエンド/村上春樹・安西水丸 (1983)
- ランゲルハンス島の午後/村上春樹・安西水丸 (1986)
- ふわふわ/村上春樹・安西水丸 (1998)
- 地球の細道 (2014)
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