「影踏み/横山秀夫」を読んだ
二子玉川の紀伊国屋書店で買って読んだ横山秀夫さんの「影踏み」(祥伝社文庫)について。
こんなあらすじ。忍び込みのプロ・"真壁修一"は夜更けに民家に忍び込み、見つからずに泥棒を働くという「ノビ師」を生業にしていた。その真壁には双子の弟がいたが、空き巣を働いた弟を悲観した母の無理心中によって亡くし、さらに弟と母と助けにいった父も失ってしまうという悲惨な過去を持っていた。しかしその弟は、声だけの存在になって真壁の心に住みつき、真壁と行動を共にするようになっていた...。
これ、ノビ師"真壁"がまるで探偵のように暗躍するミステリー。その中でハードボイルドな一面もあったり、亡くなった双子の弟との会話では霊的面もあって、なかなか面白い。で、一番よかったのは泥棒業のこと。一概に人家に押し入る強盗と言っても、空き巣、ノビ師、学校だけを荒らす専門、天窓を狙う専門があって、なかなか面白かった。加えて弟と共に愛した久子という女性の存在も最後まで気になった。
ハードな内容の中にも若干のとぼけた感じもあり、横山秀夫さんの芸風の広さを感じた1冊だった。
cf. 横山秀夫 読破 List
- 半落ち (2002)
- 第三の時効 (2003)
- クライマーズ・ハイ (2003)
- 影踏み (2003)
- 看守眼 (2004)
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