「三面記事小説/角田光代」を読んだ
最近ごぶさたの角田光代さんの小説。三茶Tsutayaで買って読んでみた「三面記事小説」(文春文庫)について。
これ、新聞の三面記事をベースに事件記事から触発されて生まれた6つの短編小説。それぞれこんな話。
・「愛の巣」:
夫が殺した不倫相手を自宅の床下に埋めたまま、バリケードのような家の中で世間にうとまれつつ26年も暮らしていた夫婦の事件。
・「ゆうべの花火」:
既婚の男性を愛するあまり、闇ネットで相手の妻の殺害を依頼した女性の事件。
・「彼方の城」:
38歳の女性がマンガ喫茶で知り合った16歳の男子高校生を自宅に誘い込んで淫らな行為をし続けた事件。
・「永遠の花園」:
市立中学の女子生徒2人が、思春期に生まれがちな嫉妬と猜疑心から男性の担任教諭の給食に薬物を混ぜた事件
・「赤い筆箱」:
男が押し入り、期末テストの勉強中の次女を包丁で刺して逃走した事件。
・「光の川」:
病気がちの母親と2人暮らしの長男が介護に疲れた末発作的に母親を殺してしまった事件。
現実にあった事件をベースに書かれた短編小説とのことで、本当にそのへんのアパートの部屋や家の中で起きていそうな気する臨場感が伝わって、何度も背筋がゾクっとした。そしてどの話も毒々しくて、痛々しくて、悲しくて、苦して、残酷な小説。途中で読むのをやめようと思ったけど、やめられなかった。角田さんの想像力と文筆力にやられました。
cf. 角田光代 読破 List
- ちいさな幸福 All Small Things (2004)
- 八日目の蝉 (2007)
- ロック母 (2007)
- 三面記事小説 (2007)
- 森に眠る魚 (2008)
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