「君の隣に/本多孝好」を読んだ
ずーっと読んでる本多孝好さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「君の隣に」(講談社)について。
こんなあらすじ。横浜・伊勢佐木町でデリヘル店「ピーチドロップス」の経営する大学生の早瀬俊は、進藤翼という少女と2人で暮らしていた。深いかげりを宿す早瀬、明るく非の打ち所がない少女 翼、店の常連客、翼の担任教師、老いた元警官など周囲の人物たちから少しづつ早瀬と翼の秘密が明かされていく...。
これ、横浜のデリヘルを舞台に、その女性経営者が自ら客をとった日に子供を残したまま失踪し、彼女に人生を救われた者たちが子供を面倒見ながら彼女の失踪を追いかけていく連作小説。何かが起こっているという前半から、読み進むうちに何かが徐々に明らかになっていく。その中で人々の裏と表を描き出し、彼ら彼女らの真実をさらけ出す一つ一つのエピソードに惹かれ、翻弄された人々の気持ちにひっかかってしまった。
ともかくバラバラに見えた話達が一つにつながっていく仕掛けは、さすが本多孝好さんという感じ。しかもいい意味で熱量を感じさえない文章も巧いと思う。やりきれなさと優しさが残った1冊でした。
cf. 本多孝好 読破 List
- MISSING (1999)
- ALONE TOGETHER (2000)
- MOMENT (2002)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005/2007)
- Fine Days (2006)
- 真夜中の五分前-five minutes to tomorrow side-A- (2007)
- 真夜中の五分前-five minutes to tomorrow side-B- (2007)
- 正義のミカタ I'm a loser (2007)
- チェーン・ポイズン (2008)
- WILL (2009)
- at Home (2010)
- ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (2012)
- ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2 (2012)
- ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3 (2013)
- MEMORY (2013)
- 君の隣に (2015)
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