「透明カメレオン/道尾秀介」を読んだ
ここ数年集中的に読んできた道尾秀介さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた最新刊「透明カメレオン」(KADOKAWA)について。
こんな話。冴えない容姿と"特殊な"声の持ち主であるラジオのパーソナリティの"桐畑恭太郎"は、今夜もいきつけのバー"if"で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届けていた。そんな恭太郎が"if"で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女"三梶恵"が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる恭太郎だったが...。
この話、恵に半ば強引に巻き込まれた恭太郎とifの常連達が企てる殺人事件のくだりを描いた前半部分は正直軽くて、あまり引きこまれなかったんだけど、その殺人計画の真実がわかり、ラストで登場人物達の嘘がわかっていくあたりからイッキにハマってしまった。それぞれが抱えるツラさ、そしてそれぞれが持つ弱さを優しく肯定していく様がよかったし、そのためにつく嘘を真実に変えていく様が面白い。強さをやせ我慢することよりも、心を楽にしていくことって長い目でみれば大事なことだと思う。やっぱり道尾秀介さんは裏切らないと思った1冊でした。
cf. 道尾秀介 読破 List
- 背の眼 (2005)
- 向日葵の咲かない夏 (2005)
- 骸の爪 (2006)
- シャドウ (2006)
- 片眼の猿 -One-eyed monkeys- (2007)
- ソロモンの犬 (2007)
- ラットマン (2008)
- カラスの親指 by rule of CROW'S thumb (2008)
- 鬼の跫音 (2009)
- 龍神の雨 (2009)
- 花と流れ星 (2009)
- 球体の蛇 (2009)
- 光媒の花 (2010)
- 月の恋人-Moon Lovers- (2010)
- 月と蟹 (2010)
- カササギたちの四季 (2011)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 水の柩 (2011)
- 光 (2012)
- ノエル-a story of stories- (2012)
- 笑うハーレキン (2013)
- 鏡の花 (2013)
- 貘の檻 (2014)
- 透明カメレオン (2015)
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