「荒神/宮部みゆき」を読んだ
ジワジワと読んでる宮部みゆきさん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「荒神」(朝日新聞出版)について。
こんなあらすじ。元禄時代の東北・陸奥の国が舞台。永津野藩と香山藩はかつては主従の関係にあったが、関ヶ原の戦を機に、反目し合うようになる。永津野藩の重臣"曽谷弾正"は養蚕業を起こすなど、藩の財政立て直しに手腕をふるう一方で、"牛頭馬頭"と呼ばれる武装集団を率いて、香山藩の領土を襲い、村人を連れ去り酷使し、非情な圧政を敷いていた。その香山藩の山村で村人の逃散が起き、そこには大量の血痕と放火の痕が残されていた。難を逃れた武士の"直弥"や少年"蓑吉"らは、"怪物"が暴れ回り、村人を食い尽くしたことを知る...。
これ、なかなか珍しい特撮怪獣パニック時代劇。登場人物が多く何度も読み返した前半はなかなか流れに乗れなかったけど、後半が凄い。人間の恨みや憎しみや恐れが作り上げたという怪物の正体やその破壊性にドキドキしたし、そこにある朱音と弾正の出生の秘密など後半は宮崎駿作品を思わせる展開。まるで映画を観ているようだった。ラストの描写は壮大だったし、無益な争いを繰り返す人間への警鐘もよくわかった。読み応えたっぷりのファンタジー作品だった。
cf. 宮部みゆき 読破 List
- 龍は眠る (1991)
- 今夜は眠れない (1992)
- 地下街の雨 (1994)
- 模倣犯 (2001)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 荒神 (2014)
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