「ジャイロスコープ/伊坂幸太郎」を読んだ
ずっと読んでる伊坂幸太郎さん。三茶Tsutayaで買って読んでみた「ジャイロスコープ」(新潮文庫)について。
これ、7つの短編が収録された書き下ろし文庫。それぞれこんな話。
・「浜田青年ホントスカ」:
浜田青年はスーパーホイホイのだだっ広い駐車場スペースに建てられたプレハブ小屋で、"助言あり〼(ます)"という看板を掲げて些細な依頼事の"相談屋"を営む稲垣に声を掛けられ、仕事を手伝うことに...。
・「ギア」:
荒野とかした町で、蓬田は見知らぬ者ばかりが乗り合わせたワゴン車にひろわれた。そんな車内で運転手が、メタリックボディーで3mの謎の巨大節足虫セミンゴが町を壊滅させたと話し出す...。
・「二月下旬から三月上旬」:
戦争が終わって間もない世界が舞台。慈郎が小学4年生からの親友・坂本ジョンと、彼が若くして細菌感染死するまでの四半世紀が綴れていく...。
・「if」:
会社員の主人公・山本は、昔から後悔ばかりが残る生き方をしていた。ある日の通勤中にバスジャック事件が起こり、またもや後悔に苛まれる。実は、犯人もまた20年前に同じバス路線でジャックし服役した男だった...。
・「一人では無理がある」:
サンタクロースは存在しないが、NGOのような巨大営利団体としてめぐまれない子供たちにプレゼントを届けていた。その組織にはプレゼントを運び、届け先情報を管理する部署があり、御子柴はトナカイの引くソリを操縦するドライバーだった...。
・「彗星さんたち」:
シングルマザーの二村佳代は新幹線の清掃婦として毎日働いていた。そこで出会った主任の鶴田さんは"パウエル国務長官の言葉"の本を愛読していていた。その鶴田主任は病気で倒れてしまう...。
・「後ろの声がうるさい」:
東京行きの新幹線はやぶさで移動中の浜田、後ろの席から中年男性と若い男性が2人で話す声が聞こえて来た。中年男性は実の息子を見かけ手紙で伝えようとし、若い男性は離婚をきっかけに離れて暮らすことになった父を見つけ話しかけるため、芸能記者と偽って中年男性に近いたのだった...。
どの話も伊坂幸太郎さんらしい独特なユーモアがつまった話ばかり。個人的によかったのは、パラレルワールドのような設定の「if」と、「物を綺麗にするのって大変なことなんだから。汚くするのは簡単。そのまま生きていればいいだけ。努力しなくても、汚くなるし、荒れていくわけ。綺麗な場所は、そこを誰かが綺麗にしたからなんだよ。」という言葉がよかった「彗星さんたち」と「常にベストをつくせ。見る人は見ている。」というパウエル国務長官の話がいい「後ろの声がうるさい」の3つ。
さ、次はひさびさの"陽気なギャング"シリーズの「陽気なギャングは三つ数えろ」を早く読みたい。
cf. 伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000)
- ラッシュライフ (2002)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003)
- 重力ピエロ (2003)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003)
- チルドレン (2004)
- グラスホッパー (2004)
- 死神の精度 (2005)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2005)
- 砂漠 (2005)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- あるキング-完全版- (2015)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
- しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 (2012)
- 最後の恋 MEN'S -つまり、自分史上最高の恋。-/朝井リョウ・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・越谷オサム・白石一文・橋本紡 (2012)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 残り全部バケーション (2012)
- ガソリン生活 (2013)
- 死神の浮力 (2013)
- 首折り男のための協奏曲 (2014)
- Wonderful Story/伊坂幸犬郎・犬崎梢・木下半犬・横関犬・貫井ドッグ郎 (2014)
- アイネクライネナハトムジーク (2014)
- キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 (2014)
- 火星に住むつもりかい? (2015)
- ジャイロスコープ (2015)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「リバー/奥田英朗」を読んだ(2024.08.15)
- 「永遠と横道世之介/吉田修一」を読んだ(2024.07.31)
- 「キネマの神様」を観た(2024.07.22)
- 代官山通信 Vol.166(2024.07.19)
- 「お帰り キネマの神様/原田マハ」を読んだ(2024.07.18)
Recent Comments