「オールド・テロリスト/村上龍」を読んだ
去年の夏に買った村上龍さんの新作「オールド・テロリスト」(文藝春秋)。やっと読んだ。
こんなあらすじ。ウェブマガジン出版社あてに入った「NHKでテロが起こる」とのタレコミをもとに、記者として指定されたフリーライターのセキグチは、取材に出かける。テロは予告通り実行され、12人もの犠牲者が出た。犯人グループを追いかけていくセキグチは刈払機で通行人を襲う事件や歌舞伎町の映画館ミラノ座で起こった毒ガス噴霧事件にも遭遇する...。
これ、怒れる老人たちが粛々と暴走する様を描いた「希望の国のエクソダス」の続編。戦争や戦後の食糧難という極限状況を体験した満州国出身の後期高齢者の老人達が義憤を覚え、ネットワークを作り、テロも辞さずに日本を変えようと立ち上がるという奇抜な物語。トツキリ、赤身(=可燃剤)、大トロ(=イペリットマスタードガス)、88ミリ高射砲、成形炸薬弾、マルタなどなど隠語とともに、アルカイダをまねたアメーバ型テロ組織に翻弄され続けた主人公セキグチにひき込まれてしまい、500ページ超の大作だけどイッキに読んでしまった。
高齢化社会における弱者と思われがちな立場の老人が社会に反旗を翻すこの物語、村上龍さんらしいグロい描写、精神的ダメージを受け続ける主人公セキグチも最高だった。またいつか読み返したいと思う。
cf. 村上龍 読破 List
- 限りなく透明に近いブルー (1976)
- 海の向こうで戦争が始まる (1977)
- コインロッカー・ベイビーズ (1980)
- 走れ!タカハシ (1986)
- ニューヨーク・シティ・マラソン (1986)
- 69 sixty nine (1987)
- 愛と幻想のファシズム (1987)
- 超電導ナイトクラブ (1991)
- 長崎オランダ村 (1992)
- 昭和歌謡大全集 (1994)
- 五分後の世界 (1994)
- 村上龍映画小説集 (1995)
- ヒュウガ・ウイルス~五分後の世界II (1996)
- ストレンジ・デイズ (1997)
- イン ザ・ミソスープ (1997)
- 共生虫 (2000)
- 希望の国のエクソダス (2000)
- 2days 4girls (2002)
- 半島を出よ (2005)
- 空港にて (2005)
- 盾 Shield (2006)
- 美しい時間/小池真理子・村上龍 (2006)
- 案外、買い物好き (2007)
- 歌うクジラ (2010)
- 逃げる中高年、欲望のない若者たち (2010)
- 心はあなたのもとに (2011)
- 櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている (2012)
- 55歳からのハローライフ (2012)
- 自由とは、選び取ること (2013)
- 賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ。 (2013)
- おしゃれと無縁に生きる (2015)
- オールド・テロリスト (2015)
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