「火花/又吉直樹」を読んだ
せっかくなんで世田谷中央図書館で借りて読んでみた芥川受賞作、又吉直樹さんのデビュー小説「火花」(文藝春秋)について。
こんなあらすじ。売れない芸人"徳永"は、熱海の花火大会で営業で、師として仰ぐべき先輩芸人"神谷"と電撃的な出会いを果たす。徳永は神谷の弟子になることを志願すると、「俺の伝記を書くならば...」という条件で弟子に受け入れられた。奇想の笑いの天才でありながら、人間味に溢れる神谷に徳永は惹かれていき、神谷もまた徳永に心を開き、神谷は徳永に笑いの哲学を伝授しようと2人は行動をともにする...。
これ、ピース又吉さんの芥川受賞の話題作ということで読んでみたんだけど、これは芸人とは、笑いとは、そして人間とはを深く描いた青春小説だった。自分の中に笑いに対するゆるぎない信念があっても、伝える努力をしないと芸人としては成り立たない。主人公"徳永"と先輩師匠"神谷"が、淡々とした展開の中で徐々に心が離れていくシーンはジワっとくるし、徳永が漫才コンビを解消する最後の解散ライブネタも素直にツーンとくる。
又吉さんの語彙の多さと深い人間洞察力にあふれた立派な文学作品だった。
cf. 又吉直樹 読破 List
- 火花 (2015)
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