「真実の10メートル手前/米澤穂信」を読んだ
たまに読んでいる米澤穂信さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「真実の10メートル手前」(東京創元社)について。
フリージャーナリスト"太刀洗万智"の活動記録。それぞれこんなあらすじ。
・「真実の10メートル手前」:
破産した福祉系ベンチャー企業の美人広報"早坂真里"が失踪した。"太刀洗万智"は彼女が妹に酔ってかけた電話音声から居場所を探す...。
・「正義漢」:
駅のホームで人身事故が起こた。よくある迷惑な事故だが、"太刀洗万智"は自殺か他殺かを探し出す...。
・「恋累心中」:
三重県恋累で高校生男女の心中事件が起きた。二人が死んだ場所の名前をとって、"恋累心中"と呼ばれたこの事件、週刊深層編集部の"都留"は"太刀洗万智"と合流して取材を開始する...。
・「名を刻む死」:
"願わくは、名を刻む死を遂げたい"という一文を残し、孤独死した老人"田上良造"。"太刀洗万智"は第一発見者の中学生とともに、田上の息子に会い真相を目の当たりにする...。
・「ナイフを失われた思い出の中に」:
姉の娘をナイフで刺し殺したと自供する少年。少年が書いた手記では少年の異常性が際立つが、その文章には隠された秘密が隠されていた...。
・「綱渡りの成功例 」:
長野県、豪雨被害で取り残された"戸波夫妻"が救出された。生還した夫婦には隠された真実があった...。
これ、女性フリージャーナリスト"太刀洗万智"が事件関係者が残した情報に触れ、報道された事実に違和感を持ち、彼女なりに取材して、その作られた事実の裏側にある真実にたどり着くというもの。その過程で、真実を暴く太刀洗には覚悟はあり、わかってしまうことによる悲哀が生まれていく。淡々としたトーンの中、ジャーナリストという仕事の業の深さが伝わってきた。
この"太刀洗万智"作品には前作として「王とサーカス」があるとのこと。いつかこれも読んでみたい。
cf. 米澤穂信 読破 List
- ボトルネック (2006)
- インシテミル (2007)
- 儚い羊たちの祝宴 (2008)
- 追想五断章 (2009)
- 真実の10メートル手前 (2015)
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