「七つの会議/池井戸潤」を読んだ
ここ数年集中的に読んでいる作家のひとり池井戸潤さん。世田谷中央図書館で借りて読んでみた「七つの会議」(集英社文庫)について。
こんなあらすじ。歳上の万年係長"八角"がトップセールスマンのエリート営業課長"坂戸"を、パワハラで社内委員会に訴えた。委員会での裁定が下り、役員会で不可解な人事が行われた。事態の収束のため、万年二番手に甘んじてきた"原島"が営業課長に指名された...。
これ、ありふれた中堅メーカーで起きたパワハラ事件の不可解な人事をきっかけに、親会社と取引先を巻き込んだ会社の不祥事が次々と明らかになっていく企業犯罪小説。最初、連作短編集かと思って読んでいたが、すべてのストーリーがつながっている。描かれた1つの企業隠ぺい事件をテーマに立場が違う人々の視点が入り、それぞれの過去が明らかになっていく。企業人として身につまされるゾッとする内容だったし、「仕事は金儲けじゃない。人の助けになること」といった考えや絶対に譲れないものは守りたいと思った。
ひさびさに池井戸潤作品だったけど、リアリティーたっぷりに企業の泥沼を描く描写力はさすが。まだ読んでいない作品も多いので、これからもボチボチ読んでいきたい。
cf. 池井戸潤 読破 List
- 架空通貨 (2003)
- 仇敵 (2003)
- 株価暴落 (2004)
- 銀行仕置人 (2005)
- シャイロックの子供たち (2006)
- 鉄の骨 (2009)
- 民王 (2010)
- 下町ロケット (2010)
- 新装版 不祥事 (2011)
- かばん屋の相続 (2011)
- ルーズヴェルト・ゲーム (2012)
- 七つの会議 (2012)
- ようこそ、わが家へ (2013)
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