「祐介/尾崎世界観」を読んだ
ここ数年、積極的に聴いてるBand、クリープハイプ。このクリープハイプのVocalである尾崎世界観が書いた初小説「祐介」(文藝春秋)、世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
こんなあらすじ。祐介はスーパーでバイトしながら、いつの日かスポットライトを浴びる夢を見る売れないバンドマン。しかしライブをしても客は数名で、メンバーの結束もバラバラだし、恋をした相手はピンサロ嬢だった。そんな生活の中、どうでもいいセックスや些細な暴力に明け暮れていた...。
この本のタイトルである「祐介」は尾崎世界観の本名であり、まさに「祐介」が「世界観」になるまでを描いた半自伝的な小説。この本を読む前までは挫折を繰り返し、貧乏でヒモ的な怠惰な生活を送り、バンドメンバーとやりあいながらも、バンドの夢を手にするような内容と勝手に想像していたけど、中身は全然違っていた。もう将来のバンドの夢すら見えなくなり、うまくいかないことで自分を責めながらも、他人に怒りをぶつけどん底に落ちていく主人公が描かれていた。最後の最後までドロドロで澱んだ空気がたまっている1冊だった。
それにしても、クリープハイプの音楽は性急感を保ちながらも、ハッピーエンドでは終わらず、どこかジトっとした印象があるけど、この小説はさらにその世界を体現できた。ともかくこの小説「祐介」の刊行後、ReleaseされたAlbum「世界観」、早く聴かねば...。
cf. 尾崎世界観 読破 List
- 祐介 (2016)
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