「後妻業/黒川博行」を読んだ
この夏映画化もされた黒川博行の「後妻業」(文春文庫)。世田谷中央図書館で借りて読んでみた。
こんなあらすじ。妻に先立たれ、結婚相談所で出会った22歳歳下の"小夜子(69歳)"と同居を始めた老人"中瀬耕造"(91歳)は、脳梗塞で倒れ一命を取り留めたものの意識不明の重体に陥った。だがその裏で、小夜子と結婚相談所を経営する"柏木"は結託し、耕造の財産を手に入れるべく周到な計画を立てていた。病院に駆けつけた耕造の娘"尚子"と"朋美"は、次第に牙をむく小夜子の本性に気づいていく...。
前科持ちの結婚相談所の男と結婚したパートナーと死別を繰り返す中年女につきまとう黒い疑惑...。「色で老人を喰う」恐ろしき稼業"後妻業"の手口と実態を描いた犯罪小説がこれ。前半は柏木と小夜子の悪行が書かれているんだけど、この手口が本当にひどい。資産家の爺さんに色気とともに親切そうに近づき、結婚はしなくとも、法的に絶大な効力を持つ公正証書を結び、その死後に遺産をぶん取るというもの。その裏で爺さん達を殺害し、次の獲物を狙い、入籍と除籍を繰り返していく。そして後半は、元刑事である探偵"本多"の登場し、その犯罪を徹底的に暴いていく。しかも本多のモチベーションは正義感ではなく、柏木と小夜子を脅し、金をぶん取るという設定がいい。ま、最後は正直あっけなかった。
「金が欲しいんやったら爺を紹介したる。一千万でも二千万でも、おまえの手練手管で稼げや。」。恐ろしいくて、ひどい話だった...。
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