「サブマリン/伊坂幸太郎」を読んだ
全部読んでる伊坂幸太郎さん。今年3月に刊行された「サブマリン」(講談社)、世田谷中央図書館でやっと借りれた。
前作「チルドレン」から12年経った続編がこれ。こんなあらすじ。19歳の未成年が無免許運転で歩いていたおじさんを轢き殺した事件をめぐって、家裁調査官"陣内"と"武藤"が出会う少年たちの話...。
この交通事件をベースに、事件を起こした未成年の少年の過去、その友達や家族たちなどいろんな側面から事件の背景を掘り下げていくんだけど、一見めちゃめちゃだけど真実をついていく陣内とクソ真面目な武藤のやり取りが面白い。面白いんだけど、「復讐のために人を殺すのは善か、悪か」や「大勢の人を救うために1人を生贄にするのは良いのか」と結構深いところをついている。人を殺すの悪いこととはわかったいるけど、殺された人がサイテーの人間だったら、殺されてもしょーがないし、殺った少年を許してあげたい気持ちもどこかにある。善悪がはっきりしないモヤモヤとしたものを、どこにぶつければよいのかが全体を通して描かれている。しかも、いっぱいの伏線がはってあって、それがつながるあたりは、昔から好きな伊坂作品の真骨頂。重い内容を軽やかに扱ってる。
「全力で何かやれよ。全力投球してきた球なら、バッターは全力で振ってくる。全力投球を馬鹿にしてくる奴がいたら、そいつが逃げているだけだ」なんて言葉、好きですね。ひさびさに伊坂節を堪能した1冊だった。
cf. 伊坂幸太郎 読破 List
- オーデュボンの祈り (2000)
- ラッシュライフ (2002)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003)
- 重力ピエロ (2003)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003)
- チルドレン (2004)
- グラスホッパー (2004)
- 死神の精度 (2005)
- I LOVE YOU/伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好 (2005)
- 魔王 (2005)
- 魔王(文庫) (2005)
- 砂漠 (2005)
- 終末のフール (2006)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006)
- フィッシュストーリー (2007)
- 絆のはなし/伊坂幸太郎x斉藤和義 (2007)
- ゴールデンスランバー (2007)
- 実験4号 -後藤を待ちながら (2008)
- Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎・瀬尾まいこ・豊島ミホ・中島京子・平山瑞穂・福田栄一・宮下奈都 (2008)
- モダンタイムス (2008)
- あるキング (2009)
- あるキング-完全版- (2015)
- SOSの猿 (2009)
- オー!ファーザー (2010)
- バイバイ、ブラックバード (2010)
- 『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために ポスタル・ノベル編 (2010)
- マリアビートル (2010)
- 文藝別冊 総特集 伊坂幸太郎 (2010)
- 3652-伊坂幸太郎エッセイ集- (2010)
- 仙台ぐらし (2012)
- PK (2012)
- Happy Box/伊坂幸太郎・山本幸久・中山智幸・真梨幸子・小路幸也 (2012)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 夜の国のクーパー (2012)
- しあわせなミステリー/伊坂幸太郎・中山七里・柚月裕子・吉川英梨 (2012)
- 最後の恋 MEN'S -つまり、自分史上最高の恋。-/朝井リョウ・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・越谷オサム・白石一文・橋本紡 (2012)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 残り全部バケーション (2012)
- ガソリン生活 (2013)
- 死神の浮力 (2013)
- 首折り男のための協奏曲 (2014)
- Wonderful Story/伊坂幸犬郎・犬崎梢・木下半犬・横関犬・貫井ドッグ郎 (2014)
- アイネクライネナハトムジーク (2014)
- キャプテンサンダーボルト/阿部和重・伊坂幸太郎 (2014)
- 火星に住むつもりかい? (2015)
- ジャイロスコープ (2015)
- 陽気なギャングは三つ数えろ (2015)
- サブマリン (2016)
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