「ヴァラエティ/奥田英朗」を読んだ
ずーとに読んでる奥田英朗さん。今回は世田谷中央図書館で借りた「ヴァラエティ」(講談社)について。
これ、短編にショートショートに対談とまさにバラエティに富んだ作品集。それぞれこんな話。
・「おれは社長だ!」、「毎度おおきに」:
準大手の広告代理店を退職し、自分の会社を興そうとした38歳の"和宏"は、古巣からの嫌がらせにあうなど前途は多難だった。そして会社を立ち上げて2ヶ月あまり、クライアントからは無理難題をおしつけられる...。
・「ドライブ・イン・サマー」:
神戸の妻の実家へお盆の帰省の途中、車が渋滞にはまる。ハンドルを握る妻は妻は次々と見知らぬ人を車に乗せていく...。
・「クロアチア vs 日本」-ショートショート-:
サッカー・ワールドカップの日本戦を観戦するクロアチア人...。
・「住み込み可」:
夫の暴力と自らの借金から逃げ、"瑛子"は2歳の息子連れで熱海の食堂で働くことになった。その食堂で口うるさい先輩の標的になっている"今日子"はどこか訳ありのようだった...。
・「セブンティーン」:
クリスマスイブにボーイフレンドとの外泊を画策しているらしき高校生の娘を持つ母親。自分が若いころを思い出し、娘に注意するかだまされたふりをするかと気持ちが揺れる...。
・「夏のアルバム」:
小学校2年生の"雅夫"はまだ自転車が補助輪なしでは乗れなかった。その頃、母親は最近入院中の伯母さんの病院へ行くことが多かった...。
そして、イッセー尾形と山田太一という2つの対談が収録されている。
・「『笑いの達人』楽屋ばなし」-対談-奥田英朗、イッセー尾形:
・「総ての人が〈人生の主役〉になれるわけではない」-対談-奥田英朗、山田太一:
この作品集、まずはよかったのは脱サラで会社を興した38歳の社長を描いた「おれは社長だ!」と「毎度おおきに」。社長として大事なものを学んでいるところがよかったし、これは続きが読んでみたいと思った。で、「住み込み可」はどこか実話をもとにしたサスペンス風だった。で、この「セブンティーン」は、最近読んだアンソロジー集「聖なる夜に君は」に収録されていたもので、「夏のアルバム」はずいぶん前に読んだ「あの日、君と Boys」に収録されていた。特に「夏のアルバム」は補助輪が取れて、初めて自由になる感覚ってほんとに懐かしいし、そこに自転車が乗れるように教えてくれた人や風景が浮かんでさらに想い出が増した。
ともかく、いろんな奥田英朗を楽しめる作品集でした。
cf. 奥田英朗 読破 List
- B型陳情団 (1990)
- ウランバーナの森 (1997)
- 最悪 (1999)
- 邪魔 (2001)
- 東京物語 (2001)
- イン・ザ・プール (2002)
- 延長戦に入りました (2002)
- マドンナ (2002)
- 真夜中のマーチ (2003)
- 空中ブランコ (2004)
- サウスバウンド (2005)
- ララピポ (2005)
- ガール (2006)
- 町長選挙 (2006)
- 家日和 (2007)
- オリンピックの身代金 (2008)
- 用もないのに (2009)
- 無理 (2009)
- 聖なる夜に君は/奥田英朗・角田光代・大崎善生・島本理生・盛田隆二・蓮見圭一 (2009)
- 純平、考え直せ (2011)
- 我が家の問題 (2011)
- あの日、君と Boys/ナツイチ制作委員会(編)・伊坂幸太郎(著)・井上荒野(著)・奥田英朗(著)・佐川光晴(著)・中村航(著)・西加奈子(著)・柳広司(著)・山本幸久(著) (2012)
- 短編工場/浅田次郎・伊坂幸太郎・石田衣良・荻原浩・奥田英朗・乙一・熊谷達也・桜木紫乃・桜庭一樹・道尾秀介・宮部みゆき・村山由佳 (2012)
- 噂の女 (2012)
- 沈黙の町で (2013)
- 田舎でロックンロール (2014)
- ナオミとカナコ (2014)
- 我が家のヒミツ (2015)
- ヴァラエティ (2016)
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