「暗幕のゲルニカ/原田マハ」を読んだ
ここ最近結構読んでる原田マハ。世田谷中央図書館で借りた「暗幕のゲルニカ」(新潮社)について。
こんなあらすじ。ピカソが"ゲルニカ"に込めた反戦の思いを911で傷ついたアメリカ国民と世界中の人に知らせるため、MoMAでピカソ研究の第一人者である"瑤子"は「ピカソと戦争」という企画展をMoMAで開催するために孤軍奮闘していた。そんな矢先、国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが突然暗幕をかけられ、その姿を消した。その日は国連が米国のアフガニスタン攻撃を容認した日だった。誰が"ゲルニカ"を隠したのか...。
これ、反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画ピカソの"ゲルニカ"をめぐるアートサスペンス小説。20世紀・第二次大戦前のパリを舞台に"ゲルニカ"を書いたピカソとこの絵を守るために奔走した人々、そして現在の21世紀・NYCとスペインを舞台に911で傷ついた世界に"ゲルニカ"に込められた思いを伝えようと奔走する人々を描き、2つの時代が"ゲルニカ"をめぐって交差していく。
この小説の最後に以下のコメントが書かれている。
「本作は史実に基づいたフィクションです。二十世紀パートの登場人物は、架空の人物であるパルド・イグナシオとルース・ロックフェラーを除き、実在の人物です。二十一世紀パートの登場人物は、全員が架空の人物です。架空の人物には特定のモデルは存在しません。」
うまく史実を組み合わせていると思う。「殺すな、戦争をするな、負の連鎖を断ち切れ、取り返しがつかなくなる前に」という原田マハの世界平和への強い祈りがこれでもかと伝わってきた。
「楽園のカンヴァス」を読んで原田マハ作品にハマったんだけど、この「暗幕のゲルニカ」も凄かった。ひっさびさに美術館に出かけたくなりました。
cf. 原田マハ 読破 List
- カフーを待ちわびて (2006)
- ランウェイ☆ビート (2008)
- さいはての彼女 (2008)
- キネマの神様 (2008)
- 花々 (2009)
- 本日は、お日柄もよく (2010)
- 永遠をさがしに (2011)
- 楽園のカンヴァス (2012)
- 生きるぼくら (2012)
- いつも一緒に -犬と作家のものがたり-/新潮文庫編集部(編)・檀ふみ・小路幸也・遠藤周作・角野栄子・伊丹十三・鷺沢萠・伊集院静・江國香織・幸田文・久世光彦・小川洋子・佐藤愛子・糸井重里・原田マハ・島尾敏雄・馳星周・小澤征良・山崎豊子・唯川恵 (2013)
- 暗幕のゲルニカ (2016)
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