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Wednesday, October 11, 2017

「満願/米澤穂信」を読んだ

Honobuyonezawa_mangan たまに読んでいる米澤穂信さん。三茶Tsutayaで買って読んでみた「満願」(新潮文庫)について。
 これ、6つのサスペンスミステリー短編集。それぞれこんなあらすじ。
 ・「夜警」:
 頻繁に交番に訪れていたDV被害者の妻より包丁を持って夫が暴れていると通報があり、交番の警官達は現場に駆けつける。逆上して襲いかかる夫に警官が発砲して対抗するも、あえなく殉職してしまう...。
 ・「死人宿」:
 突然姿を消した彼女"佐和子"が栃木の山奥にある温泉宿で働いていることを知った主人公はその宿に車で向かい、苦労して辿り着いた宿で姿を消した理由を知る。佐和子は、自殺の名所として有名なこの宿にある温泉の脱衣所に、遺書が置き忘れられていることに気づく...。
 ・「柘榴」:
 "さおり"は、自分が美人であることを誰よりも理解していた。決して鼻にかけず、美人であることにより得られる幸せを享受し、傲慢にならないように注意する冷静さを持っていた。不思議な魅力に溢れた"佐原成海"と大学のゼミで出会ったさおりは女生徒同士で取り合いが起った中、美しさを武器に成海を得ることができた...。
 ・「万灯」:
 仕事一筋に生きる"伊丹"は、東南アジアで資源開発に挑んでいた。命がけで発展途上国でエネルギー開発を推し進める伊丹だが、賄賂は当たり前で、時には手荒な行為を選択しなければならなかった...。
 ・「関守」:
 伊豆のある田舎道、そのカーブでは年に1回のペースで車の滑落事故が起きていたが、特に急なカーブというわけでもなかった。ライターとして飯を食っている主人公は都市伝説にまつわる記事執筆の仕事を得る。ほとんどは適当に書いていたが、特集のひとつを埋めるため、その事故の現場に赴いた...。
 ・「満願」:
 学生時代に下宿していた家の奥様が刑期を終え出所することになった。弁護士の主人公はお世話になった奥様の罪を軽くしようと奔走していたが、突然「もういいんです」と控訴を断念したことに疑問を持っていた...。

 これ、6つの短編が登場人物の満願で始まり満願で終わる人間臭いミステリー。みな、利己的で他社よりも自分を優先している。ほんと願いとはえげつないと思えた短編集だった。

cf. 米澤穂信 読破 List
- ボトルネック (2006)
- インシテミル (2007)
- 儚い羊たちの祝宴 (2008)
- 追想五断章 (2009)
- 満願 (2014)
- 真実の10メートル手前 (2015)

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